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□不慣れ
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「まぁ、そこは俺が強いから何とかなったんだがな」
「はいそこ変な主張やめてくんない」
「あーわぁったわぁった。マジやめろいい加減」
茶化すクイックマンと食い付くヒートマンを再度制しつつ、フラッシュマンがやれやれと器具を手に取る。
すると、パシュン、とドアがスライドし、会話が聞こえたらしい緑の機体が入ってきた。
「なぁに、またプラン無視したの」
クイック?
じろり、と視線をやり、心なしか温度の低い声でバブルマンがクイックマンを見やる。
クイックマンがびく、と肩を引きつらせた。ヒートマンと同じく焼けたらしい、傷ついた頬が痙攣する。
「君らが帰ってきたっていうから、聞きに来たんだけどな。いきなりそれかい?」
すぐ上の兄には妙に頭が上がらないのか、自信満々に鼻を高くしていたクイックマンが気まずそうに口を開く。
「だっ、………って、そうしたほうがその、あ、あれだ、時間短縮できるのに気付いて、さ……!」
「……ふぅん?」
自身の機体を抱き締めるように腕を回し、じい、とバブルマンがクイックマンを見る。
何かを探るように見つめたあと、そうだ、と提案をした。
「報告ファイル、出来てるよね。視覚データと一緒にちょっと二人とも見せて?」
「…ほい」
「はぁーい」
バブルマンの声に、二体ともがデータを三兄に送る。それをヴン、と機体の周りに展開していき、
画面をいくつか開いて、んー、とチェックしていった。どれ、とフラッシュマンもメンテナンスしつつ覗く。
そしてひっそりと通信を送った。
『目の前でチェックたぁ、死刑宣告待つみてぇな気分になるってもんだろーに。
 そんな目くじらたててやるなよ、クイックがやらかすのは、んでも成功させんのは今更だろ?』
宥めるような内容を送ると、バブルマンは涼しい顔でデータを見つつ返信してきた。
『そんなつもりじゃないよ。ただ、クイックのこの癖が最近気になっててさ。
 僕前からのクイックのとっさに動いたタイミングとかの動向を見ててね。
 今回のも確認したいんだよ。出来るだけデータが新鮮なうちに』
『新鮮って、食料じゃあるまいに』
呆れて返しつつ、フラッシュマンはヒートマンの頬の傷を直していく。
バブルマンが、二体が動いた経路を見ながらぶつぶつと考えていた。
「んー。時間短縮ねぇ…。そんなに時間かかるように組んだんじゃあないんだけど」
モニタに行動データを出し、同時進行でプランとの追い掛けをする。
何とはなしに全員がそれを視線で追い、バブルマンが独り言のように続けた。
「うん、うん、短縮か、まぁ……ルートは…そうかもね。それに、あー、ほら、ここ。
 もっかいリプレイするけど、見てここ、クイック、お前がこのポイントでブースト
 かけたことでヒートに向いてた銃口が動いて陽動にもなってる」
バブルマンの指摘に、ヒートマンもへえと声を上げた。
「あ、ここ僕狙われてたんだ」
「炎の温度、ここで上げてたら他への引火やばいから低めにしとけって、出来ればここでは
 発火するなって言ったのは僕の指示だったし。炎を盾には出来ないタイミングだったね」
「うわ、ていうか、ここだと火付け続けてたら最悪の場合バックドラフトじゃねーか。
 ダクトねーとか何この構造」
横から見ていたフラッシュマンも突っ込みを入れる。





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