Main3

□不慣れ
1ページ/10ページ







しっかりと地面を踏みしめ立つ赤い姿。
軽やかに舞い、気付いたときには鋭く切り裂いていく金色。あっけらかんと笑い、自信に溢れた気丈な普段。
マイナスを覆すポテンシャル。怯むことない猛進力。獰猛な衝動。
輝くアイセンサは、何者にも屈しない煌めきに満ちていた。





「いっつもいっつもさぁ、クイックはさぁ、段取りとかプランとか全部無視してさぁ、
 単独でそのまま突っ走ってさぁ、しかもさぁ、僕をおいてけぼりにしてさぁ、もうさぁ、まじ何なわけ?
 死ぬの? 走ってないと死ぬの? 止まったら死ぬ鮪か何かなの? 魚類だったの?」
「時間が止まったらダメージ受けるな」
「随分嫌味に耐性ついたじゃん、それとも言葉が通じないわけ」
「あーーーもーーーお前はほんッとーーーーーに黙らねぇなヒート!」
「おらぁうるせえ! そこまでだ! アホなこと言ってないで、いいから二人ともこっちこい」
明るい日の差す、賑やかなラボの中。
容赦なく吐き続けるヒートマンと、それにとうとう声を荒げたクイックマンの間に
制するようにフラッシュマンが割って入る。
任務から帰還してからずっとこの調子の二体は、お互いに軽く機体にダメージを負っていた。
どうやら、プラン無視の常習犯のクイックマンがまたやらかしたらしく、それを不満だと
ヒートマンがちくちくと責めていた。青い腕が小さい黄色い機体を抱き上げる。
「ほおら、こっちこい。お前からだ、ヒート!」
「んむー………!」
計画を無視しても普通に任務成功させて帰ってくるのが常だったため、いつものことすぎて
そろそろ感覚が麻痺した感に襲われつつ、フラッシュマンが「報告によっちゃメタルか
 エアー兄貴か博士が動くだろ」とヒートマンを宥める。次いで、ぐり、と赤い機体に振り返った。
「クイック、取り敢えず先にご機嫌斜めのヒートからみっから、座ってろ」
「何か納得いかねーのが聞こえたけど、りょーかい」
クイックマンは、一先ずはおとなしくなったヒートマンにやれやれと息を吐き、メンテナンス台に腰掛けた。
フラッシュマンが先にヒートマンの機体チェックに入りつつ、むうとむくれる、炎で爛れたらしい頬をつつく。
「あー。ほら、焼けてんだからそんな膨らますな。ダメ食らったがその様子だとまぁ、
 いつものパターンで任務的には結果オーライってやつなんだろ。んなにむくれんなって」
「そおおおなんですけどさぁあーーー僕が納得いかなぃいいいーーー」
今日は僕がメインに壊すって話だったのに!
憤慨しながらそう言う黄色い背をよしよしと宥め、「んだよ、ダメージもらったことに
拗ねてんじゃねーのか…」と突っ込みを入れた。
すると、ヒートマンは、んーん、と首を横に振る。
「いやね、それは、突入しながらある程度は分かってたんだよ。これは僕ら予想以上に
 ダメージ貰うだろうってね。だからそれは別にどーでもいいの」
「へえ? 確かお前らの任務下調べは今回バブル兄貴だろ? 珍しいなそんな特効プラン」
「否、そんなプランたってないって。バブルも流石にそれはしないよ。多分だけど、
 僕らDWNだってのは漏れてはないにしても、何かしら警戒でもされたのか
 僕らがいく直前にセキュリティロボ増員してたっぽい」
ヒートマンの説明に、フラッシュマンはへええと声を上げた。






次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ