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□露見3
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「酷いよ。メンテ必要なほど痛めるのは流石に酷いよ」
「喧しいっつってんだろ。大体お前はものの言い方を考えろ。それに直してんだからいーじゃねーか」
「直してんの僕なんだけど」
「何か言ったか軽率野郎。あと何発欲しい」
「何でもないですごめんなさい」
スネークマンの冷たい声に、タップマンが即座に返す。
マグネットマンの間接パーツを微調整しながら、ひりひりする頬の痛みに溜め息を吐いた。
今日、タップマンは二期基地に行っていたのだが、男性型のふりをしていた
件の機体とその兄機体が何やら騒ぎを起こした。
それに自分の同期機体が絡んでいたことを知り、つい面白がって仲間に広めたのだ。
その結果、帰ってみればマグネットマンは間接技を極められており、自分は問答無用に殴られた。
挙げ句、マグネットマンの修理に駆り出される羽目になってしまった。
パーツに付きすぎたオイルを拭き取りながら、タップマンが、それにしてもさ、と呟く。
「いやー実際フラッシュさんの変わり様はびっくりしたよ。けど、当たり前かも
 しれないけど、中身は変わってないね」
「あー、まだ実物は見てないけど、確かにびっくりだね。俺もスパークから
 画像転送してもらったけど、いやぁ噂に聞いてたとおりナイスバディだね」
自分達後発機体にも気さくに接してくれる先輩機体の変貌を言えば、マグネットマンもうんうんと頷いた。
スネークマンは不機嫌そうともとれる複雑そうな顔で無言を返す。
「……だから、羨ましいなぁってだけだったのになぁ」
しかしマグネットマンがそう言えば、アイセンサーを釣り上げて、がん、とメンテナンス台を蹴った。
もー、とむくれるマグネットマンを余所に、自分達同期の中で、彼、もとい彼女と
一番親しかったスネークマンの戸惑いたるや相当だったろうとタップマンは思う。
実際、秘密が露呈した任務のあとの挙動不審っぷりはすごかった。
それで微妙に関係がギクシャクしていたのは知っていたので、仲直りしに行っていた
らしいのがまた微笑ましいと思ったため仲間に知らせたという面もあった。
「…あったりするんだけどなぁ……」
「あ?」
「何が?」
思わず漏れた独り言に、赤と緑の機体が反応する。それに何でもないよと返し、
マグネットマンのアームカバーをぱちんと閉じた。
「よっし、終わりっ!」
「ありがとタップ」
「念の為、違和感ないか確認してね」
「うん。……ん、大丈夫っぽい」
「そっか、よかった」
ほんわりと笑うマグネットマンに笑い返すと、今度はスネークマンが器具を手に取った。
次はスネークマンがタップマンの頬を診るのだ。
「もうね。直すなら殴らないで欲しかったよ」
「あん? やっぱりもっと殴られてーのか?」
「いやですー。あ、ところでね。帰った途端これだったから忘れてたけど、メタルさんから伝言」
「?」
「今度飲み会やろうってさ僕らと先輩たちとで」
言うと、心なしか、スネークマンが少し固まった。マグネットマンがぱぁっと喜ぶ。
「へえ! いいね! 前回楽しかったから嬉しいな、いつ頃?」
「今日の夜辺りか明日くらいにニードル帰還すんじゃん? ちょうどその頃が
 全機体オフだから、まぁ近いうちって」
「やったー!」
「ふーん……」
「……?」
喜ぶマグネットマンと対照的なスネークマンに、タップマンは不思議そうに視線をやった。






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