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□露見2
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「…………」
「…………」
「うん、えーと、えーとね、ねぇスネーク。僕の思い違いでなければなんだけど」
「は、はい……」

「つまり君、フラッシュに、その、そーいうこと?」

「っっ!!」
言葉を濁せば、がっとスネークマンに肩を捕まれた。痛い。
「あああああの俺、フラッシュさんに、あ、会うと、俺、顔赤くなっちまうし
 しかも、う、うううまく喋れなくてですね、その、せっかくバブルさんにああ言って
 もらったのに、全然前みたいな態度とれなくて、まともに顔も見れなくて…!
 しかも姿見るだけで、ま、前の任務でその、顔突っ込んじまった先の柔らかさとか
 いらんことが勝手にリプレイして、あの…!!」
「オーケイ、分かった。ちょっと落ち着こうか。つまり、フラッシュが嫌いになったわけじゃないんだね?」
まくし立てるスネークマンにちょっと引きながら、要点をバブルマンが問う。
すると凄い剣幕で縋り付かれた。
「ぁああああ当たり前です!! 寧ろ俺が嫌われたかも…」
「フラッシュは、君に嫌われたと勘違いして落ち込んでるよ」
「!!」
バブルマンの言葉でスネークマンが止まる。
ぷしゅう、と音でも聞こえそうな様子で肩の手から力が抜けた。泣きそうな顔に悲愴感が追加される。
何これおもしろい。
「取り敢えず、君の気持ちは分かった。君があの子のこと嫌いになったんじゃなくてよかったよ。
 けど、君的にシカトじゃないにせよ、避けるのは流石にマジでやめてあげてくれないかな。
 あの子があんなに凹んでるところ、初めて見たよ」
「っ…! す、みませ…」
「謝るなら僕にじゃない」
「は、い…」
へなへなと両手がバブルマンの肩から滑り落ちる。やれやれ、とバブルマンは屈んでいた腰を伸ばした。
「いやぁ、僕もこうは予想してなかった。知らなかったとはいえ浅はかだったね。すまない」
「いえ……」
落ち込むスネークマンをぽんぽんと撫で、バブルマンはくすりと笑う。
六妹と悪友のようにつるんでいた様子から考えられないほどの態度。イメージが一転した。
彼がこうも純情だとは思わなかった。
特別視しないようにと願ったあとでのこの騒動に、落胆しなかったかと言えば嘘になる。
しかしまぁいいやとバブルマンは切り替える。
「けどまー、何にせよ、少なくとも妹悲しませる奴にはフラッシュはやれないかなー」
はっはっは。
「え"っ」
朗らかに笑えば、スネークマンががちんと固まる。それににっこりと笑いかけた。
「そりゃ、僕にとっては可愛い妹だもの。それとこれは別だよ」
頑張れー。
「が、頑張れったってあの!」
「あれ? 君このままあの子の前からフェードアウトする系?」
「いえっ、そんなつもりは!」
「でしょ? でも僕よりもずっと手強い壁があるからまぁ、怪我はしないようにねー」
「そっ、そんなっ…!」
縋る声を背中で受けて、バブルマンがにこやかに退出する。最後に付け加えた。
「あ、キューピッドやるつもりはないけど、軽い手助けならやってあげる。有料で」
「っっ……!!」
理由はどうあれ悲しませたこと、そして足を運ぶはめになったことへの軽い意趣返しであるが
スネークマンにはそんなこと分からない。
自室の中、何故だか取り残されたような気分になりながら、スネークマンは無情に閉じるドアを見つめた。





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