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薄い唇を割り開く。
覗く尖ったそれら。
指先をあてれば、濡れたそれにつるりと滑った。




ぬるり、と、割り入れた指に舌が絡み付く。
他機体よりも長いそれは熱を持ち、まるで戯れるように指に添わされた。
だらりと怠そうに壁にもたれながら、しかしアイセンサーを細めさせて面白そうに
こちらを眺めてくる、青い色。嘲笑うような視線に、ちり、と苛立ちが回路に走る。
それを無視して指を動かせば、くちゅりと密やかに水音が聞こえた。
指先に、尖ったそれが軽く擦れる。擽ったさをセンサーが訴えるが構わず指を動かした。
は、と唇と指の隙間から熱い排気が漏れ、時折、鼻から抜けるような声が零れる。
開き続けることで乾くのを防ぐためか、保潤液の量が増えたらしい。尖ったそれら
隙間から、溢れるようにとろりと一筋たれ落ちた。
「…………」
その様子に、自身の武器の刃の狭間を伝い落ちるオイルのビジョンがメモリからふと浮き上がる。
円形の凶器が敵を切り裂いた故にまとわりつき、滴り落ちるそれ。
高速で放たれる摩擦と、敵の内部を貫くためとで熱く、刃の隙間にたまる僅かな量の
それが、金属とは違う艶を返して内部の管を割いたのだと教える。
ぽたり、と床へと落ちるそれは無色透明の筈なのに、黒いそれと一瞬見紛えて
メタルマンは軽く頭を振った。
口内に揃うそれが、どうにも既視感を呼び起こしていた。
「ん、むぅ、……ん、んん…!」
「…………」
気を取り直し、邪魔するように絡み付く舌を嗜めるように指で押す。
もう片方の手で顎を取り、少し上を向かせた。
「っ…!」
反り返る喉がひくつき、たまった保潤液が重力に呼ばれてごくりと飲み下される。
苦しいのか、目元が薄く朱に染まった。排気が少し荒さを増し、眉間に皺が寄る。
じわりと目尻に洗浄液が滲んだ。嫌がるように首が横に捩られ、逃げようとする。
「…おとなしくしていろ」
「ふ、んぅ…」
ぎちりと顎を押さえ、限界まで口を開かせる。唇が抵抗を示すが、柔らかなそれでは
もとより効果は薄い。より奥へと指を押し込み、指先を探るように泳がせた。
保潤液を飲み込むたびに口内が狭まり、連動で指が吸われる。これ以上の侵入に
抗議するように、がり、と尖ったそれが擦るがしかし、上顎を押して閉じることを許さない。
「んゔ、ぐ…っ」
限界近いように苦しげな声が漏れるが、苛むようにさらに押し入れた。
指先をごそりと蠢かせると、ぴくん、と青い肩が震える。熱く荒くなる排気はいよいよ
苦痛じみ、縋るように赤い腕に手がかかった。滲んだ洗浄液は留まり切れずに
赤らんだ目元から零れ落ち、メットのフェイスラインを辿って顎を掴む手を濡らす。
脚が藻掻くように床を蹴った。きり、と指先が腕の装甲をかくのを、回路の端でとらえる。
「んぐ、っ───!」
背筋がびくりと痙攣し、次いで────ずるりと指が抜き取られた。





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