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すり付けてこじ開け、舌を絡めても。歯を当てて食らい付き、保潤液を飲み下しても。
余程興が乗らないかぎり、それは滅多に反応を返さない。されるがままに享受して、
ただ時が過ぎて終わるのを待っている。
互いが互いに固執するような間柄では決してない。寧ろ壊れようがどうなろうが、知ったことではない。
だから、それがどうというつもりは欠片もない。
下劣に嘲笑うか、不機嫌に歪むか、無表情に閉じるか。感情を押さえない彼のそれは
気分によって様々に動き、酷くけたたましい。
喧しく振る舞い、その為本当は何を考えているのかを周りの目からくらませてしまう。
中に潜む舌はよく見せびらかすため長いことは皆知っていたが、存外に薄いそれが
思いの外熱くなることは、一体どれだけのものが知っているのだろう。
決してこちらには触れようとしないそれ。
他の部位に触れることは厭いはしないくせに、重なろうとは絶対にしない。
しかしだからとて、されても抗おうとは欠片もしない。全くもって、意味がわからない。
重ねたところで、何があるわけでもない。何も変わらない。意味などどこにもない。
今こうして絡む四肢と、何の違いもない。
だのに、何故。
沸き上がる疑問は発することなく、故に答えも返らない。
知りたいとは思わない。理解しようとも、したいとも思わない。
ただ、いつもの疑問を思いながら、今日も理由なく喧しい声を発するそこを塞いだ。




おわり

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