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□みやげ
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「こら、早くこい、置いていかれたいか?」
「悪い、エアー兄貴、すぐ行く」
次兄の呼び掛けにフラッシュマンが謝り、急いで二人とも空輸部隊に乗り込んだ。
「何してたんだ、二人とも?」
長兄の言葉に、二人は顔を見合わせて再度笑う。
「何でもねぇよ」
「ああ、何でもない」
リーフシールドで守られた部隊が空に舞い上がり、人間の警察を嘲笑うかのように離脱する。

すると。

どおん、と、いつもより火薬の少ないクラッシュボムが一発、地上で爆発した。
「っ!? お前ら…」
次兄が呆れ顔でこちらを振り向くが、悪戯を働いたクラッシュマンと、提案したフラッシュマンは楽しそうに笑っていた。
「ちゃんと加減したって、あの程度じゃ、死ぬどころか怪我もしない」
「そーそー、でも、紛れてた婦警、とかいう奴か? あの娘、美人だったな」
そんな二人の様子に、長兄やバブルマン、ヒートマン、ウッドマンが釣られて笑う。
「まったく…」
この二人は、と次兄が苦笑いを浮かべた。部隊は高く舞い上がり、基地へ帰還するために進んでいく。
「クイック、どーしたの? 楽しくなかったの?」
「ん? いや、楽しかったぞ、ヒート? 何でだ?」
「顔怖いよ?」
「げ、本当か? おかしいな…」
先ほど目にした、至近距離で笑いあう弟たちの姿が妙にクイックマンの思考回路にちらつく。
最近妙だ、帰ったらメンテナンスを受けよう、とクイックマンは思った。
「でも、お前本当に後ろの敵に気付いてたのか、クイック?」
考え込むクイックマンに、メタルマンがふと尋ねる。
「当然だ、少しくらい隙を作らないと、つまらないだろう?」
「危ないことするんじゃありません! お兄ちゃんは心配したぞ!」
けろりと答えられた内容に長兄が怒る。それでも、合同任務の成功に、兄弟機たちは
楽しそうに笑った。もうここには欠片も用はない。あとは父のもとに帰るだけだ。

自分達をこの世に創りだした、博士の野望をかなえるために自分達は存在する。
早く基地へ帰還して、父の喜ぶ姿が見たいと、長兄のメタルマンは思った。

自分達の帰還が、父にとっての何よりの土産。
それを長兄は誰よりも理解している。




おわり



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