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□みやげ
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研究施設のメインシステムから直に干渉を受けない、独立した回路を持つ戦闘型
ガードマシンが襲い掛かってきた。
しかし、それを嘲笑うように、クイックマンが容易く切り裂いていく。
「この程度で戦闘型とは、笑わせる!」
「相変わらず楽しそうだねぇ、クイックは」
ヒートマンが面倒臭そうにぼやいた。最速の足を持つ兄機体は戦闘が楽しくて仕方ないようだ。
「俺も楽しいぞ。ヒート、下からいく、ボムに触るなよ」
ドリルでガードマシンを突き破りながら、クラッシュマンもまた楽しそうに答えた。
敵機体を壊しながら、破壊任務の最後の仕上げの施設爆破のために柱にクラッシュボムを打ち込み始める。
「はいはい、んじゃ、僕もいこうかな」
リモート機能のかかったボムに刺激を与えないよう加減した炎をあげ、ヒートマンが
施設内の廊下を駆け抜ける。研究施設に瞬く間に火の手が上がった。
「遅い、その程度か木偶の坊が!」
立ち止まり、敵機体に突き刺さったブーメランを抜き取りながらクイックマンが
楽しそうに声を上げる。
「クイック、後ろだ」
とたん、長兄の声がし、クイックマンのすぐそばをメタルブレードがとんだ。
クイックマンに襲い掛かろうとしたガードマシンに突き刺さり、音を立てて崩れる。
「楽しいのはかまわない、油断するな」
「余計なことを。後ろにいたことぐらい、分かっていたさ!」
長兄の小言を軽口で流し、クイックマンは再び駆け出した。
施設が崩れない程度に壁や天井をドリルで壊し突き破り、クラッシュマンが上の階へと突き進む。
次々と柱にボムを打ち込み、火の手をあげながら駆け抜けていくヒートマンと
競うように進んでいった。
目指す先は、二人とも屋上だ。
『そろそろ屋上につく。爆破するぞ、全員離脱しろ』
さあ、一番のお楽しみの時間だ。
クラッシュマンのアイセンサーが軽く赤く染まる。
仕上げのためには兄弟機を逃がさなければならない。クラッシュマンは他の兄弟機に通信を入れた。
『了解、クラッシュ! 抜かるなよ!』
『分かった、クイックと離脱したあと、俺たちは先に後衛部隊と合流する。
 ヒートとすぐこいよ、予定地点は北北西に750だ』
『了解』
クイックマンとメタルマンからの通信に答えると、目当ての屋上に出る扉がクラッシュマンに
視認される。ドリルで突き破り、途端に開ける視界にうつる空をあおぎみる。
すぐ後から、ヒートマンも屋上に来た。
「よし、ヒート、爆破するぞ。後ろにつかまれ」
クラッシュマンがそう言いしゃがんで、ヒートマンが後ろから首に腕を回し、
兄機体につかまる。ドリルでは抱えられないので、代わりに後ろにつかませるのだ。

『離脱した、爆破しろ!』

長兄の通信に、クラッシュマンの目が一気に赤く光る。リモート機能を使い、
クラッシュボムの爆発機能をオンにした。
それと同時に、一階に始まり二、三と階をあげながら爆発が始まる。
ヒートマンの炎によって劣化した壁が柱の支えを失い、崩壊しはじめた。
足元の崩れいく感覚を少しだけ味わい、クラッシュマンは屋上から高く跳躍し、地面に向かって飛び降りる。
身を捩り、崩れいく建物を眺めた。映像を楽しみ、音を楽しみ、破壊衝動が満足を
訴え目が更に赤く輝く。

施設は見事に崩れ去った。





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