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□たまにはいいじゃない
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謝りながら、E缶をエアーマンに抱えられているヒートマンに投げる。
ぱし、とそれを受け取ると、ヒートマンはエアーマンの腕から降り、フラッシュマンに飛び掛かった。
「うおあっ!?」
「笑った罰!」
うりゃあと叫びながらヒートマンはフラッシュマンの膝に乗り、座り心地のいい場所に腰を下ろした。
「─ったく、びっくりした。しかもだ座るだけかよ。膝なんていつでも乗るじゃねぇか、何が罰だ」
「それは深く考えないの」「何だそりゃ」
呆れて笑いながらも、ヒートマンは自分を膝からおろそうとしない兄に甘えるように、
椅子にするようにもたれかかった。
「結局、優しいよね、フラッシュは」
「褒めたところで何もでねぇぞ」
「それと、素直じゃないよね」
「やかましいわ」
エアーマンも再び椅子に座り、午後の時間をだらだら喋りながら過ごす。
その後、任務予定の三人は武器の調整や部隊編成に自分達の部屋に準備に戻っていった。
「………エアーたちまで任務いっちゃったら暇だなー」
フラッシュマンの膝から下ろされウッドマンの膝に移ったヒートマンがぼやく。
「でも、博士とメタルあんちゃんたちが帰ってくるよ?」
「そーだけどさ、任務の後のメタルは淋しかったってひっつくからイヤ。
ウッドにブレード刺さりそうになるし」
容赦なく言うすぐ上の兄に、長兄が少しかわいそうな気がしたが内容は否定できないなぁ、と
口には出さず、ウッドマンはE缶を口に含んだ。




午後11時半、目立たぬよう小編成されたエアーマンの空輸部隊が控え、バブルマンと
フラッシュマンが侵入経路の最終確認をし、出発の準備が整ったことを見送りにでた弟二人に知らせる。
「もういくの? せっかちだなぁ、クイックじゃあるまいし」
ヒートマンが呟くと、バブルマンがヒートマンに顔を向けた。
「心外だなぁ、せっかちなんじゃなくて準備がいいっていうの」
「こら、無駄口たたくな。時間より少し早いが、準備は整った」
いくぞ、というエアーマンの声で、フラッシュマンはバブルマンを抱え空輸部隊に乗る。
いい子にしてろよ、というフラッシュマンの声を残し、エアーマンを先頭に部隊は
空に舞い、目的の研究施設目指しすぐに見えなくなった。
「いくら目立たないように小編成って言っても、フラッシュ何もこんな時まで
バブルを抱っこしなくてもいいんじゃない?」
「うーん、まあ慣れてるからじゃない? 部下に抱えられるわけにもいかないし」
ふーん、と自分もウッドマンに抱えられながらヒートマンは夜の闇を眺める。
星がきれいな夜だった。



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