□玉蜀黍とお姫様。
2ページ/4ページ


赤面した顔をごまかすように背ける。

「発音記号は[越後]と同じ!フルーツ・イントネーションは却下。」
「!?…あぁ、そ。ごめんなさい。イチゴくん」

ペコリ。丁寧に頭を下げた。イントネーションが妙。
彼女の周りだけ、なんか涼しそうで近づいた。

怖がられてなさそうなのが、内心嬉しかったり。
確か最近、タツキが構ってる奴だったな。
名前とか顔をちゃんと覚えられない俺が即、覚えた。理由は…聞くなよ?

「…オリ「おっまぁったせぇーーーーぃっ!!」」

バタン!!

ハデな音をたてて玄関が開いてタツキが出てきた。

「まだちょーっと散らかってるけど……おやぁ〜?、一護なにしてん?」

タツキは俺に気づくと、顔をしかめて

「なによ?アンタ…姫に変な事してないでしょうねぇ?」
「変な事って……どーゆー目で俺を見てるんだ?お前わ…」

だいたい、まっ昼間の路上でナニをどうするんだ…と、言いかけてやめた。
硬派な俺のイメージが崩れる。
タツキはオリヒメを家に招き入れていた。

「あー、遊子が…持ってけってさ」

袋いっぱいのトウモロコシを、腰の辺りまで上げタツキに見せた。

「うおぉぅっ、すっごいぢゃん!どしたの?」
「なんたらって患者からの差し入れだとよ」
「なんたらって………いい加減、おばえなよ?人名。サンキュー」

頭を振りつつ、礼を言うタツキに無事荷物を渡して、帰ろうとする襟首を捕まれた。

「まーまー、寄ってけって一護。どーせ暇なんでしょ?」
「!なんだよっ?!」
「あ・そうだ…アンタ [オリヒメ]言うの禁止、ね?」
「はいぃ?何だそりゃぁ…ぉい」
「[イノウエ]さんから始めなさい」
「あぁっ?」

急になに云ってるんだ、この女。
しかし、妙に凄みのあるタツキの表情に、これ以上ツッコむ勇気は俺にはない。

タツキに聞かれぬようにブツブツと小声で文句をいい、勝手を知ってるタツキに部屋に向かった。
背後で母親を呼ぶ幼馴染の大声が聞こえる。





部屋には[イノウエ]さんがよく出来た人形みたく、ちょこんと座ってた。

「ぁ…イチゴクン」

イントネーションがまだ微妙だ。

「悪いな…邪魔して」

折りたたみのテーブルを挟んで向かいに座った。

次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ