□雪カキ氷
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雪、積もるかもしれない。
アスファルトには相変わらず雨みたいに、びちゃびちゃと濡れるばかりだけど。
ブロック塀や街路樹には、マジメに積もってる。

傘なんかさしてないから、肩とか鞄には雪乗ってるし。
井上の頭にも面白いカンジに乗ってるから、軽く払ってやる。

「っぉ?あり……」
「[マチコ巻き]しとけよ」

文句を云われる前に、俺のマフラーを頭をグルグル巻く。

…何か…中東の人みたいな。ま・いいか。

「黒崎くんが寒いじゃない??」
「鍛えてるからいいの」
「そーゆ・モン?」

首を傾げる。
そーゆ・事にしといて下さい。
最近、ちっとも鍛えてなんかいませんが。
結構なやせ我慢をして、さっきちらっと思った事を口にしてみる。

「…普通のカキ氷なら、一緒に食ってやるよ。暖かい部屋でな」
「………………」

返事がなかったから、チラ見すると井上は口開けて固まってた。

何なんだ?そのリアクション!

「な・なんか…変な事云ったか?俺…?」

[カキ氷]付き合ってやる。って、云っただけだよな?
真っ赤な顔に、だんだん涙が溢れてきて…

「ぅうっ…っヒッく、超・嬉ひぃ〜……」
「あ?」
「っふ。…だぁって、み〜ぃんな付き合ってくんないんだもんっっ!!」
「……………」

…まぁ、寒い真冬。しかも雪降り積もる中、[カキ氷]付き合う難儀な奴は、そういやしないだろう。

が、涙する事の程だろうか???

ガキみたいに懸命に涙を拭うから、ポケットを確かめ

「……使えよ」
「………ぷっ」
「なんだよ?文句あるかっ」
「…あはははっ!…だぁって!!」

そんな指差して、腹抱えるほど笑わなくてもいいだろう。

巻いてるマフラーの先、出したからって。

そりゃぁ、俺だって変だと思うがよ?ハンカチ無かったんだから、しょうがない。
自分のポケットから紺色のハンカチをだして

「いい、持ってるから。ありがとう」
「…どーも」

なんとなく、釈然としない気持ちで空を仰ぐ。
ほんと、振ってきやがった。
コートの袖をちょんちょん。と引かれ向く。

「せーっかく,黒崎くんがその気になってくれたし〜?雪も降っていますし!」

井上がドキッvとするような視線を送る。
俺、誘われてんよな?気のせいだとしても、ノルぞ。

「2人で[氷パーティ]しましょぉーっ!これから!!」
「Σいっ…今か?!」
「あたりまえです。すぐ忘れちゃうでしょぉ?黒崎くん」
「暖かい部屋とかじゃなきゃ嫌だっ」

我ながら情けないセリフだけど,ここは強調しておかないと。

女神サマの脳はどんな企画を思いつくか判らないからな。

「ん。じゃ,ウチきますか?おコタもあるよ」

あっさり普通案。

だが,井上とコタツ……悪くねぇ!むしろイイ!
たま〜に現れる霊体以外邪魔が入る事もない。

『冷た〜いっvv』

とか云って,密着されるのもするのもあり………だ!???





「…コタツはいいな」

表面上は付き合ってやるか的な態度。
イメージは大事なんだよ、男にとっては。

「やったーぁっ!決定〜〜vv」
「おぅ!」

クルクルと回って喜ぶ井上にニヤけてたら、何か思い出したらしく振り向く。

「あ,ついでに宿題しよーねぇ」
「…………」



最後のは聞かなかった事にしよう。



** 終 **


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