□…待ち合わせ?
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「…待ち合わせ、してた?」
「Σひゃぁ;」

びっくりした。いきなりだし耳元で話すし。なんかもぉ低音だし!
両手で耳を押さえて
「もぅ、ヒソヒソしなくていいんですよ?黒崎くん」
「そうかぁ?」

見上げるとニヤニヤ笑い。ワザとだ。絶対。時々、イジワルなんだ。この人。

「……で?予定とかあんのか?誰かと…会うとかさ?」
「ないけど。…どうして?」
「…いやぁ、別に…」

チラリ。
視線を織姫に向けた後、照れたように頭を掻く。

え…と、あぁ。
黒崎くんの反応がそうだったら嬉しいなっ。

「あ…あの、ねぇ。今日、日曜でしょ?」
「あ、あぁ」
「なのに皆、用事があって全然、暇ぢゃぁないんですョ〜」
「おぅ」
「ですから、気分転換と暇つぶしににちょっと…ね?」
「……………」

気分転換に、いつもはほとんどイジらない髪を巻いてみたり、ちょっとお化粧してみたり…
つまり[オシャレ]してたり、する訳です。私。

コンセプトは[デート]…なんちゃってv相手、いませんけど。

話してるうちに、なんだか恥ずかしくなってきた。誰とも合わないって思ってたから。
…変、ぢゃないかな?
時々、千鶴ちゃんやマハナちゃんに教わったりしてるから、大丈夫なハズ…だけど。

黒崎くんがじっと睨むように見てる。この間がなんかコワイ。

「…じゃ、[空き]、だな?」

確かめるように聞いてきた。
こくこくと頷くと「うしゃぁっ!」片手で拳を握る。…どうしたんでしょう?

一護はおもむろに、首を傾げてる織姫に向き合い、歩いて来た方角を指す。

「井上、そこに喫茶店、あるな?」
「うん?」
あった…かな?

一瞬、なにを云いたいのか分からず、間の抜けた返事になった。


「俺も暇なんだ。ものすごっっっくっ!!」

[ものすごっっっくっ]に物凄いタメが入ってる。
それってつまり…そーゆ・コトよね。
ってゆーか、コレって私の妄想による幻聴とかぢゃぁ、ないよね?!
つい、両手を上げて喜んでしまった。どうか誰も見てませんように…(ほら、黒崎くん幽霊だから)

「うわぁ〜ぃっv付き合ってくれるの?!黒崎くん?」
「お願いしますっ!…い、ぃや、すぐ戻る。いいな?」
「はい、黒崎隊長!!」

ビシッ。敬礼で答えると、偉そうにウンウン頷く。

「お菓子くれるからって、変な奴についてくんぢゃねぇーぞぉっ」

小さな子に言い聞かせるような事を云い残して、一護は人家の屋根へ飛んだ。


……お菓子で釣られるようにみえるのか……ショック。


織姫は昼間の死神の去った方を、ぽーっとしばらく見上げたまま。頬をつねった。

「イタイ」

夢ぢゃない。妄想でも、幻覚でも白昼夢でもない。


ドキドキドキドキ


心臓の音が大きい。
ホントのデートになっちゃった。しかも黒埼くんと、だよ?……緊張、してきた。
深呼吸する。1回、2回…落着いて、井上織姫。

指定された喫茶店に、ゆっくりと足をむける。



とりあえず


今日はもぅ、虚が出てきませんように。


  ** 終 **


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