□鍋にチョコレートは<有>か…?
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沸々と携帯コンロに鎮座する鍋を凝視する。
中はこの世のモノとは認めたくない風景が展開していた。
部屋に広がる甘ったるいのと生臭いのと、どっちかにしろっ!!て、叫びたくなる空気。


 せめて同じ<黒>ならイカ墨にして欲しかった…


クツクツ音をたてる<鍋>を囲み、俺たち3人は同じ想いで頭を抱えていた。






>>>鍋にチョコレートは<有>か…??





「えっと…なんの会、だっけ?」
溜息をつくたつきがダルそうに口を開き、チャドが即答した。
「<鍋をつっつく会>だ…」

つっつくだけなら、問題ねーがよ?
冷たい汗が滴り落ちる。
ヤベぇ…腹、痛くなってきた。

どういう課程で、今に至るのかは覚えていない。
只、昼休みに啓吾のバカが「『鍋を囲む会』をしたい」と、騒いでいたな。
で、元馬芝中学出身がそろって井上の家にいるのはなりゆき、と…ほんの少しの下心?

「とりあえず、今まで織姫のチャレンジ・レシピで大失敗は、ないから。」
「……<失敗>はあるんだな…?」
うっかり小声でツッコむと、隣の鬼が睨みつける。
「…闇鍋…」
チャドが提案する。 あぁ、<闇鍋>…ね。
チャド、お前スゲェ前向きだな。

 ンでもって、お前らコレ本気で、喰う気なんだな…???

俺の目の前には、超・エンジェルスマイルな井上。

「そろそろ…どぉかなぁ〜?」
周囲の想いは完全スルー。
マイ・ウェイ井上は怪しい鍋をつっつく。
「織姫ぇ…大丈夫なの?コレ、アクだか何だかわかんないよ??」
「うぅ…ん。牛乳とかトマト風味とかあるんだかし。チョコレートもイケルと思うの!多分」


「「「……たぶん?」」」


3人見事にハモった。
「ぇー…実験?」

別に俺は、怒ってる訳じゃない。
ただ、日頃から「人相が悪い」と云われてる表情はさらにヒドかったというだけで。
井上のキレイな目が、怯えて曇った瞬間

「っぅほぁ!!」
鳩尾にたつきの肘が入った。


「なんっつー……最悪な顔してるのよ!あんたわ。織姫、怖がってるでしょーがっ!」

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