□クリスマスの話
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「おぉっ!!あった、あった!」

ようやく見つけた小さい包みを「ほれ」と、ポーンと織姫に投げた。
青いラッピングペーパーに、ピンクの細い金のラメ入りリボン。

「な・な・なに?」
「何って…決まってるだろ、プレゼント」
「うぇ?プレゼントって…私に?!マジですか?」
「いらねーなら返せ」
「嫌です。ありがたく頂きます」

ホントに取り上げそうな黒崎くんから、隠すように包みを抱きしめる。
うわぁ〜〜プレゼントだ!黒崎くんからだよぉ?
ドキドキし過ぎて手が震えちゃってる。
そぉっと見上げて

「あ…開けていいかな?」
「よかろう!」


…誰の真似っスか?

思い当たる人は何人もいるけど、微妙過ぎてよくわからない。
……そんなダメ出ししてる場合じゃなくってっ!
震える手でカサカサと包みを開く。
小さい箱の中には銀色のペンダント。

「…か・可愛いぃ……っ」

トップはお花の形で、6枚の花びらの1つに蒼い石が填め込んでいる。
なんだかヘアピンとお揃いみたいな感じ。
今は付けてないけど、お兄ちゃんから貰ったヘアピン。付いてる石の色も何となく似てる。

「…すまん。俺、よくわかんねーからさ、こーゆ・の」
妹に見て貰ったからガキっぽいかもな。頭を掻いた。
「ううん。すっごく嬉しい!」


ハシッ。

胸に飛び込んでしまった。
だってどうしたらいいか、分からなくてとっさに。
顔なんかたぶん超・真っ赤だ。

「っっお・おぃ?」
「ぅ〜れぇひ〜ぃい〜…」

もうドキドキし過ぎて声も出すのがやっと。
大胆過ぎる自分の行動に照れてしまって、私どうやって離れたらいい?
この赤面した顔をなんとかしないと…

「…い・井上?」
「だって、貰うなんて…思いもしなかったっ」
「そりゃぁ…よかったぜ。ちょい、貸しミソ?」

ペンダントを渡す。
「ちょっと、我慢な?」
小声で、髪を掻き分けペンダントを付けてくれるみたい。
留め金が小さいのか、口の中でぶつぶつ言ってる。
私といえば、あまりの接近度(というか、密着度?)に、完全に固まっていた。
硬直が解けたのは

「おっしゃ。完了!」

すごく嬉しそうな顔で黒崎くんが、離れた時。
首元に下がるお花と、黒崎くんを交互に見上げる。
「あははっ!ありがとう!に・似合う?」
後頭部に手をあてて、照れ隠しにポーズをとる。

「ん〜…たぶんな」

可愛くない態度でそっぽを向く。
んふふっ。かなり照れているのは、顔をみれば分かります。


………っああ!!しまった!
ウットリし過ぎちゃったけど、まだ間に合うかな?
黒崎くんの腕を、グリンと掴む。
「ってぇ!」
「あ、ごめん」

あぁ…ダメ。
0時まで後、2・3分しかない!!

「くっく・黒崎くん!ほ…欲しいものない?!!」
「はぁ?!」
「プレゼントだよ!早く、早く。終わっちゃうっ、クリスマス!!」
「い、いいって。そんなつもりじゃ…ねぇ」
「ダメ。私があげたいのっ」
「えぇっ?」

貰うなんて思ってなかったから。
何の用意もしてないけど、まだ0時前。
井上織姫16歳 何事も前向きがモットーでございます。
予約受付してしまえばクリスマス・プレゼントにはなるハズ。
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