APH*
□貴方の名が覚えられない
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『おぅ!目ぇ開けやがれっ、生きてっかよ?』
面倒だと思いつつ重い瞼を開く。
薄暗い中に白い鬼。
「……随分と無骨な仏様だ……」
「んぁ?何云ってっか判ンねぇって。ったく、勝手に人ン家の庭で天に召されるんじゃねっつーの」
雪に半分埋もれた日本の体を、プロイセンは一気に引きずり起した。
「……あぁ……?」
急に起され体液が対応出来ないのと、体が凍えて動けないので再び倒れた所を抱き止められる。
「てめぇんトコは、アレか?雪ン中で寝るようなナンカでもあんのか?」
「ある訳ないでしょうが。死にますよ、そんなん。馬鹿ですか貴方」
ブツブツと返って来た返事に眉尻を上げ、嬉しそうに口元を歪める。
「へぇっ、結構云うじゃねぇかよ。大人しそうな面して」
乱暴にバタバタと日本に付いた雪を叩き落とし肩に抱えあげた。
「っ」
「動けねぇんだろ?じぃっとされやがれ」
動揺する日本を軽々と担ぎ、少し離れた所で待たせた馬に跨ると、自分の前に降ろしてマントの中に入れ片手で腰を支えた。
「ちゃぁ〜んと摑まってろよぉ?」
片手で手綱を操り馬を走らせる。
馬屋まではそんなに距離はなかったと思われる。
思いの他、マントの中が温かくてついうつらうつらしてしまい、頭を叩かれ気付いた時は城の廊下を抱えられ移動中だった。
いわゆる“お姫様抱っこ”である。
自分で歩くと訴えると
「冷凍爺ィが何を言ってやがる。てめぇに何かあったら俺がルッツに怒られンだ」
嫌っそうな顔で呟く。
瞬間的に、弟のルードヴェッヒに怒られてる様子を想像して噴き出す。
「笑うな、馬鹿」