APH*

□安眠枕
3ページ/3ページ


「はっ!忘れてましたっ、ポチくんとタマの餌っ!!」

急に大事な仕事を思い出し、立ち上がりかけた腰をプロイセンがロック引き戻した。

「はぃ!その件なら終了」
「ふぇ?」
「ポチの散歩も完了。お出迎え早々に催促してたからな。洗濯物も回収し片付けてある。お前ン家の奴から何件か電話が入ったが、具合が悪いっぽいからメールにしろと伝えた。結構、俺様は早く着いてお前は寝てた。質問は?」

これから私が聞くであろう事を一気に並べ、パチン!と指を鳴らし促す。
なんかの講義を受けてる気分。

「起してくれれば」言い訳のように呟くと
「メンドイ」
「なんです、ソレ……何故、貴方まで一緒に寝ていたのです?」
「お前がひっついてきた」
「まさか!」
それは無いでしょう。と続けようとしたら

ぐぅぅぅ〜っ

「あ……」
腹の音が盛大に鳴り顔を伏せる。恥ずかしい。
まさかポチくんとタマの餌の事を思い出したのは、自分の空腹の為……とは思いたくない。
ついでに一度目が覚め、確かに自分がひっついた心当たりがなんとなく。重ねて恥ずかしい。

「まず俺等の“餌”だな。作ってあった肉ジャガでいいゼ?ツマんだけど旨かった」
「え、いえ。でも、それでは」

流石に作り置きはどうか。顔を上げると、予想外に優し気な眼差しに真顔があった。

「なんなら俺が作ってやろうか?ん?サボれる時にサボっといた方がいーぞぉ」

ドクン。
高鳴る動悸に息切れ眩暈。
顔を上げる事が出来ないのに、わざわざ覗き込もうとしてくる。何プレイだというのだ?
キサマは落としゲーキャラか?
困った事だが、普段豪語する程に奴は自分の顔を理解していない。

「今日は……やけに優しいですねぇ?」
「いつも優しいだろが。ぉ?」
「ついでにもう少し……甘えさせて下さい」

とプロイセンの首に腕を回し自ら抱きついた。部屋が暗くて良かった。
バランスを取るように姿勢を替え、日本の細い腰を引き寄せる。

「おまー……こーゆ・のいちいち窺うな。照れんだろよ」

貴方は照れるポイントがいちいちズレてるんですよ。と、心の中でツッコんでおく。
背中を撫でる手が心地良くて首元に顔を埋め目を瞑る。
眠くなってきた。このまま寝てしまおうか。

ぐぅ……きゅるるるぅ〜……

再度、空腹が主張してきた。肩を震わせて笑い耳元で囁く。

「やっぱ俺、作ろうか?お前抱えて」
「……断固拒否します」


ただ寝ているだけで何故腹は減るのでしょう。
あぁ……なんて格好悪い。

****** 終

前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ