APH*

□安眠枕
1ページ/3ページ


新年だからって、何が変わったという訳ではなく。
寧ろ変わってくれてれば良かった。変わるのであれば、少しは善い方向へ向かってくれる事を祈るばかり。
この“国”の化身の様なモノである私が、こんな調子ではイケナイが。
バタバタと行事やらなんやらで時が過ぎ、時間に余裕が出来たのは1月も下旬近く。



疲れが溜まっていたのか、コタツでうっかり寝込んでしまい髪を触る感触で目が覚めた。
銀髪赤眼の男がかなり間近で睨みつけてる。

「……ぅいょぉー」
「おぅ。おはよーさん」
「いつ……来はんれふ?」

動く気もなく目線だけ、ぼんやりプロイセンに向ける。
ウチに来るとは聞いてない。しかし来たい時に来るのが常である。

「だいぶ前だ。ポチの散歩は行っといたし、餌も出してあるゼ。タマの分も」

あぁ、ありがとうございます。とブツブツ呟き目を閉じた。
さっきから頭を撫でるプロイセンの手が気持ち良過ぎる。

「んだよ、また寝んのか?」

しょーがねぇな。いつになく優し気な声でヘラヘラ笑った。
きっと夢なんでしょう。と思えば素直に欲に従える。
目をしぱしぱさせもぞもぞと隣に移動し、狭いスペースに無理やり体を滑り込ませた。

「んぉ?何だぁ?イキナリ」

スペースを空けるプロイセンに抱きつき、調度体の収まりのいいポイントを探し出す。

「……や・やけに積極的じゃねぇか」
しっかり抱きしめ返す腕が心地好い。
「オヤスミなさい」
「……あぁん?」


何事か呟く声が聞こえるけど、それも子守唄のよう。
前から感じていたが、奴にひっついていると気持ちが落ち着いて疲れが取れる。

これからは“安眠枕”と書いて“プロイセン”とでも読む事にしようか。

次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ