APH*
□私の師匠
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「よぉ!小鳥の様にカッコイイ俺様が遊びに来てやったゼぃ」
お昼近く。
なんの予告もなく現れた巨人族は、ブロック塀を軽々と飛び越え我が家に侵入して来た。
かなり白っぽいシルバーブロンドに赤い瞳。
天気が良く太陽も高い今時分には目にイタい。
むやみに長い薄い水色のマフラーに黒いロングコートが、ムカつく程似合う我が“師匠”プロイセン。
人名はギルベルト・バイルシュミット……舌を噛みそうな名前。
独りでも騒々しい男は、当たり前のように縁側に座り込み靴を脱ぎ始めた。
相変わらずの手ぶら。
この家に着替えなどは置きっぱなしなのだから、それでいいのだろうが。
「毎度毎度、よくそんな軽装で税関抜けられますね」
日本。
人名は本田菊、は呆れつつようやく空になった洗濯籠をぶら下げ声をかける。
「やべぇモン持ってなきゃ通れるだろ、普通。俺等外官扱いだし」
そもそも“国”とは易々と出掛けるモノではないのだ。
それを今更この男に云った所で、鼻で一笑されるだけだろう。
ふぅっと息を付くと長い脚を邪魔そうに組んだギルベルトと目が合う。
「な、日本。俺、昼飯間に合ったな?」