FF7*

□HISTOIRE:5
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夕方。
自分の屋台を早々と閉め、ジョニーはいつものように【セブンス・ヘブン】へ向かう。

いつものように【セブンス・ヘブン】に搬入する荷物と、我が女神 ティファちゃんへのファンから託された、熱い差し入れをカートに乗せて。
埃っぽく人々の喧騒で賑う間をスルリスルリと抜けていく。

カートは元々小型のスクーターで魔晄カートリッチで動いていた。
けど、魔晄が使えなくなっちゃったじゃん。代わりに小さいバッテリーとモーターを付けてある。
ペダルを何度か踏むと充電する。
エコだ。サイコーだ!
ステキに星に優しい乗り物にカイゾーしたのが、あのムッツリ気障野郎ってのが…世の中ってのは判らない。

ムカつくけど顔はイイし腕っ節はあるし、やたら女の子にモテル。
ティファちゃんはぞっこんラヴ。
そんなダンナは他のイイ女とイチャついてるし!ゆるせねぇよなぁ?あんまりだ。不公平過ぎるにも程がある。
オレはつねづね思う。
男ってのは顔でも腕っ節でもねぇ。
優しく熱いハートだぜ!!


店の入り口で軽く砂埃を払い、ジャケットから櫛を出し整える。
赤い自慢のリーゼントをバシッとキメ、小さなボトルを取り出すと咥内へスプレー。
いわゆる男のタシナミってヤツ。口が臭っちゃ男が廃る。
ガラスにうっすら映る陰で最後のチェック、大きく息を吐いてドアを開けた。

「よぉっ!ティファちゃんっ荷物…」
云ってるそばから小さなモノに外に押し返された。
「なんっだよ… デンゼル?」

なぜか、店の中を窺う歳の離れた少年にジョニーは詰め寄ると口を押さえられた。

「しっ!…裏からたのむよ」
「あぁ?」

デンゼルに引かれ店の前に止めてあるカートを起動させた。
ちゃっかり乗り込むデンゼルを抱えるように、体半分はみ出してバランスをとる。
魔晄と違い動力が弱い。さすがに重過ぎるのかカートはよたよたと進んだ。

「なに?ヤな客でもいんのかよ」
「ティファがそんなの気にする訳ないだろ」
「ま…確かに」

ティファちゃんはルックスが最高なだけじゃない。
腕っ節もかなりのモノで、ザンガン流格闘術を習得していて次期継承者だと世間の噂だ。
たまに遥々勝負を挑んでくる奴もいる。召喚獣を一撃で倒したとか…

噂だけどよ。

「…いつもの」
うんざりした表情でデンゼルがジョニーを見る。それでピンときた。
「あ〜…はいはいはい」
大袈裟に頭を振り頷いた。
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