FF7*

□HISTOIRE:4
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ゴンガガ、君の故郷。


『貧乏でさ。なぁ〜んもないんだよ』


いつかの台詞の通り。
エアリスはゆっくり辺りを見回した。
森の中の小さな村。
古い童話にあるような、キノコみたいで可愛い円筒形の家々と小さな畑に鶏。

のんびりとしていて静か、鳥のさえずりがよく聞こえる。
とても気持ちのいい村。
木々の向こうに、廃墟になった巨大な魔晄炉の施設がひっそりと佇む。

『何にもない』けど君は楽しかったに違いない。ご両親に会ってそう感じた。



村の入り口そばの控えめな墓石。
古い石を使っているだけで、墓自体はそれ程古くはなく、古い御伽噺の英雄の名前と紋章が刻んであった。
誰かの悪ふざけのような小さな墓。
裏に錆びだらけの大きな手裏剣。
封の開けられたウィスキーの小瓶と、ドライフラワーが供えられていた。

此処に彼が眠っているのだろうとエアリスは思った。
村に入る直前、タークスの3人組とすれ違った。
追われてる身だから一瞬[先回り]されたと思った。
タークスのレノの、赤毛の長い尻尾にドライフラワーの花弁が付いていたし、この花は教会でエアリスが育ててる物だった。だから

「ふふ…来ちゃった」

そっと墓石を撫でた。
ここに君が居ないのは判ってる。
死んだら星になる。ライフストリームに皆行くから。

小さい頃、お母さんの旦那さんが来た時のようにはっきりとじゃないけど。
1年位前お別れに来てくれたのも気づいていた。
でも信じたくなかった…きっと、何処かで生きてるって思っていたかった。

「やっと、会えたね…それとも、もう会ってるのかな?私達」

クラウドに付いて行けば探し出せると感じてた。
持っている剣に見覚えがあったのもだけど、なんとなく君に似ていたから。


『正反対なんだけど…気の合う奴がいてさ…』
以前話してたオトモダチの事。


「あのオトモダチって…クラウドの事なんでしょ。手紙読んでくれた?」

書き溜めた君への手紙は最後の一通を書いてから、ツォンさんに届けてくれるように頼んだ。
1年前、ふいに「無事届けた」の一言だけ伝えてきた。
いろいろ聞いてはみたけど何も言わなくて。
辛そうなのでいつか自分で探そうと思った。

巧く外の世界に出れなかった私に、クラウドを合わせてくれたのは君だと信じてる。
だから、君の分もクラウドを支えようと思うの。
相変わらず何を考えているか判らない人けど、そうしたいんだ。

ドライフラワーの下、錆だらけの鎖に気付いて引き出した。
ネックレスのような先、トップの楕円形の一つに刻まれた文字が辛うじて読めた。

彼の名前




『ザックス・フェア』




手の中で楕円形を抱え、目を閉じる。
長い間そうして、静かにネックレスをドライフラワーの傍に置いた。


「ご両親に紹介してくれようとしてたの、すっごく嬉しいよ。だけど…もう、ここには来ない」

彼の事をご両親に話そうか迷っていた。
2人とも生きてると信じて心配している。
どうやらティファも君の事を知ってるみたい。
女の子が大好きだったから…美人なティファには声を掛けていただろう。
大きくため息をつき、お墓をしばらく眺め「うん。クラウドに任せよう」決めた。

たぶんクラウドは君の事、全部知ってる。
きっと話せる日が来るし、そうしたいと思ってるに違いないから。
ゆっくり立ち上がる。

「近いうち…そっちで会おうね」

予感。

運命とか宿命とかよく分からないけど、古代種の役目みたいな事が近づいている。
感じがする。
小さい頃から逃げと回っていた事。
もう逃げない。

君を見つける事が出来たから。


「それまで、さよなら。…ザックス」


  ** 終 *


なんかバタバタと書いてしまったんですが;
後でまたこの村来るよなぁ…あぁ
ま・いいか。エアリスが書きたかっただけです。

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