FF7

□Èpisode:1
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◆ OUVERTURE


ごうごうと轟音をとどろかせ魔晄列車が走る。
新しくチョコレート色に塗りなおした車両を軋ませ、灰色の街並みの中を突き進む。
車上に居るクラウドは身を低くし、ゴーグル越しの視界から前方を探る。
前の車両との連結部に3人、その後方車上に2人身を伏せている。
次の連結部にも3人… 反WRO、レジスタンス団体の一つで割と大きく過激な団体だ。WROは“列車の爆破”と予測していたが、どうもそうではない気配。

かつては自分も、似たような輩だった事を思うと妙な感じだ。…もっとも自覚はない。

『前列1・2、グリーン』
酷い雑音とヘッドフォン越しの風の音に、ユフィが混ざる。
『でも、機関室に隠れてた変なヤツが逃げた!』
「…モンスターか?」
『分からない… 追っかけてるけど。嫌なカンジ!気をつけて、クラウド』
「あぁ…11・10問題なし。7屋根に8人、これから片付ける」

伝えた瞬間、カツン!後方に流れ去る鉄柱に何かが当たった。
続けて2・3・4… クラウドは巨大な剣の柄に手を掛ける。もう少し。
だんだん激しくなる弾丸の雨の中、前方を見据える。
大きなカーブから車両が直線に連なった瞬間、踏み出した。
素早く引き出した剣の腹を盾に一気に詰め寄り、まとめて数人叩き落とし何か叫けぶ男の武器を弾き蹴り飛ばす。

“殺さない”というのはなかなか難しい。

が、列車から降りて貰えば問題はない。
怪我をしようが半身不随になろうが、知った事ではない。
周囲を飛んでいるWROのヘリやフロートが、奴等を回収し手当してくれる訳だし。

目前に迫る弾丸を軽く避け大きく飛び、次の連結付近に固まっていたのを、着地ついでに蹴落とし残りも降りて貰いながら前方を見ると、少しだけ人数が増えていた。
迫る火の玉の一団を剣でなぎ払う。
魔法を使う奴もいるらしい。ご苦労な事だ。
ため息をつき、再び下車して貰うため踏み込む。

アイツは… また死んでる・・・・だろうな。たぶん。
ふ・と何処かに乗車しているだろう“乗り物酔い仲間”の助手を思う。
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