FF7
□Alice dans la charge du gardien
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ティファの店は10代の頃バイトした店に何となく似ていた。
店内には数組の客、たぶん常連。
ゆるゆると煙草をふかし想いに耽る人もいれば、新聞片手に何かのレースの予想を、熱く語っているのもいる。
どこかのんびりしたインストメンタルのBGM、ゆっくり回る天井の大きなファンのキィキィ鳴る音。
アリスはカウンターで、おNewの携帯を一心不乱にイジっていた。
色違いでクラウドとお揃いの白、彼の携帯のデータそのままコピーされたそれは、着信・送信・メールまで。
(本当は違反らしい。当然か)
だからそのデータをチェックし登録・整理・削除と…正直メンドクサイ。
不在着信の多いクラウドは、全てリダイヤルで返しているようでちょっと親近感を感じる。
実はアリスも同じだったりするから。
でも、それは自分で分かるからいいのであって、他人のはただの迷惑である。
開いたメモ用のノートの頁は、すでにボールペンのインクで真っ黒だった。
「どう?珈琲、煎れよっか」
カウンター越に、ひょっこりティファはメモ帳を見て苦笑した。
黒いサラサラした髪が肩からこぼれ落ちる。
「酷いでしょう?何度言ってもダメなのよねぇ」
溜息をつくティファに気かれないように、さりげなく腕を移動してメモを見づらくする。
アリスとしては残す必要のあまりない、飲み関係…ていうか。お水関係のお姉サマとかのアドレスやナンバー。
メールがあるから判ったけど、ティファからしたら面白くないだろうし。
…お遊びも程々にね、クラウド。
「前にねー、あんまり酷いから整理したんだ
けど…どっかに落として来ちゃってさ」
拗ねるように唇を尖らし、珈琲を空のカップに注ぐ。
綺麗な人はどんな顔をしても様になる。御礼を言うとニッコリ微笑んで
「判らないのがあったら、聞いて?」
アリスは素直に頷いた。客の呼ぶ声に、ティファは明るく答えて向かう。
「は〜い」
ティファは体にぴったりした白のインナーに大きな胸を包み、薄い水色のシャツをはおりウエストの辺りで緩く結んでいる。
デニムのミニスカートと、すらっとした長い脚がカッコいい。
カラン。
チャイムが鳴り、マリンとデンゼルが帰って来た。
「ただいま〜っ」
「置くよ?ティファ」
身軽なマリンはそのままカウンター奥に入って行く。
後からかったるそうなデンゼルが、カウンターの中に抱えていた重そうな大きい茶色い紙袋を置くと、再びドアが足で開けられクラウドが入って来た。
ちらっと、オーダーを取るティファがクラウドに視線を送る。
美女の強烈なラブ×2光線を完全に無視。
イケメンは同じくかったるそうにノロノロと、カウンターに担いでいた3個の大きなダンボール箱を置く。
野菜の緑がはみ出していた。
どうやら他の仕事の帰りに受け取って来る様、頼まれたらしい。