BLEACH*Clap

□モヤモヤ
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気がつくと神社の境内に立っていた。
落ちかけた日が、まだ粘って遊んでいる数人の小学生の影を、長く伸ばしている。
サッカーボールが足元に転がってきた。
「お姉ぇさーん!こっち!!」
両手を振り、ボールをよこすよう男の子達が声を張り上げた。
「ぅん。いっくよぉーーっ!」
軽く蹴り上げたボールはゆるい弧を描いて、巧く1人の子の足に収まった。
「サンキュー!」
歓声と共に、受け止めた子が少々カッコつけたジェスチャーを返す。
それがなんだか可愛くてニンマリしてしまう。





>>>>モヤモヤ





賽銭箱の前の石段に腰を下ろす。
昼間はまだ真夏なような気温だけど、さすがに夕方になれば涼しくなってきて。
ザワザワと風が葉を揺らす音が気持ちいい。


【尸魂界-ソウルソサエティ】から無事戻ってきて。
普段、あんまり話せなかった石田くんや黒崎くんたちと、少し仲良くなれた気がして、それなりに新学期が始まって…るんだけど。


最近、皆バラバラ。
元々、そんなに一緒にいた訳ぢゃぁないし、それぞれ事情があるんから、普通と云われたらそうなんだけど。

なんか…変。

いつも、まっすぐなたつきちゃん。
何か、悩み事抱えてるみたいだけど、口にはしない。
1人で考えたいオーラ、ビシバシで聞くのをためらってしまう。
幼馴染だからかな?黒崎くんとこーゆトコ似てるんだ。
言うと怒るけど。

石田くんも、なにかずっと考えてる。
霊圧っていうのかな。
前みたいぢゃなくてなんか、内に篭ってるような…
よく解らないけど、多分そのことだと思う。

黒崎くんはもっと大変。
眉間のシワをぐっと、深くして。
時々、学校に出てきてもピリピリ、負のオーラみたいなのが…恐怖漫画のオドロオドロした効果みたく、黒崎くんを中心に漂っていて。

時々、息継ぎが出来なくて、窒息しそうになる。


そのせいか最近、いつもチャドくんは一緒にいてくれる。
優しいチャドくんは何も言わないし、聞かないけど、やっぱり何か悩んでるみたい。


私は…たぶん自分から逃げているんだと、思う。

神社という場所のおかげか、落ち着いて考えられる。
なんだかモヤモヤした気持ちが、ヒンヤリしてきた風に清められていくみたい。

何だか、もぉ自分がよく解らなくて。
嫌な自分が、最近ニョキニョキ大きくなって、ドロドロした感情をどうもできなくて。
人の事で、頭いっぱいにして自分から逃げている。



「…お兄ぃちゃん…」


無性にお兄ちゃんに逢いたくた。
傍にいるような感覚。頬が温かい。

視界いっぱいにオレンジ色

「……ミカン。」

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