小説W
□幻影昇華
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リシェアがイルと呼ばれるけとに慣れてきた頃だった。
初めて夜盗として動いた時よりも麻痺してきたのか徐々にリシェアは言われたことが理解出来るようになっていた。
とはいえ初めの一件以来、夜盗というよりも泥棒に近いことばかりをするようになっていた。
どういう心境の変化かは分からないが、レイディアいわくこれが最も安全な作戦だと豪語している。
表面上仲間と呼んでいる彼等と過ごす中で、ログやツェラはリシェアをよく気にかけているが、出会った時と変わらぬ敬語に苦笑いをされた。
「イル、それやろうか?」
リシェアが足の踏み場が無い自分の部屋を片付けている時など、ログやツェラの他にキルバが遠慮がちに聞いて来る時もある。
何というかその姿には和むものがある。