Hyotei

□暗がりの瞳
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暗闇に慣れた俺の瞳には
君の存在は酷く眩しくて
目を背けたくなる、衝動




「忍足さん、起きてるんですか?」

「あー…起きとるよ」


夜には俺の隣にあったはずの低温な温もりがない
あるのは誰かがそこにいたことを示すベッドのへこみだけ
昨夜の行為の激しさを告げるようにシーツは若干湿っていて、ぐちゃぐちゃ

日吉は若干腰を庇うように歩いてはいるが立てるらしい
失敗した、もっと足腰が立たなくなるまで犯しておくべきだった
こいつが真っ黒に染まるまで


どす黒い感情とは裏腹に陽の光がさんさんと降り注ぐ窓から目を背ける
ああ、眩しい



「いま何時だと思ってるんですか…もう昼過ぎちゃいましたよ」

「ヒヨはほんま朝早いなぁ、もうちょい寝かせて」

「もう充分寝たでしょう?ちゃんとベッドから出て、顔洗ってきてください」


頭からシーツを被って眩しさから逃げようとしたら手首を掴まれる
そのまま勢いよくシーツを剥がされぐいぐい引っ張る
ああ、眩しい

逆の手でその細い手首を掴み自分のほうへ引き寄せる
眩しくて目を細めるこの白い視界にも分かる、驚いた顔
貪るようなキスにとにかく抵抗する
そんなことしたって無駄、とでもいうようにもっと強くしてやったらようやく大人しくなる


「んっ、はぁ…お、したりさん!」

「かわええ、ひよし」


自分の声は酷く掠れていて、なんとも情けない声
涙をためてキッと睨みつける目の端に小さなキスを贈る
きらりと光る涙はやっぱり眩しい
そのまま低温を抱きしめて、さらさらな髪を梳く
さながら猫のようにぴったりとくっつく


「ひよは眩しい」

「え?何言ってるんですか」

「せやから眩しいの、ひよも、このせかいも」

「……目でも悪いんじゃないですか?」

「ちゃうねん、ひよがいるから」

「俺のせいにしないでください」


いくら乱暴に扱おうが、何をしたところで何も変わらない
俺はいつだって真っ黒で日吉はいつだって真っ白
きらきら光ってる、眩しいぐらいに
そんな光を鈍くするために思い切り日吉を抱く
すこしでも、つりあうように
真っ黒に染めるために
穢したくない、俺の色に
そんな矛盾がうずまき俺を困惑させる



「俺な、ひよのこと好きや」

「知ってます」

「…すき、だから」

「俺もすきです」

「だから、」



だから、世界はこんなにも眩しい。



END.


*  *  *  *
(あとがき)

アホの子おったり^^
男前日吉くんもすきです。


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