Hyotei
□Smile you
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君のたまに見せるその笑顔は、
俺が守るから。
●Smile you●
ときどき、悲しそうにあの人を見つめる日吉を見る。
視線を外すときの、微かに見せる自虐的な笑みも。
そんな君を見ると、なんだか胸が苦しくなる。
俺があの人の代わりになれたらいいのに。
そうしたら沢山愛してあげるから。
だから、俺をみて。
なんて、そんな絵空事。
(でも、本当にそうなればいいのに)
本当は今すぐにその細い身体を抱きしめたいんだ。
ガラスでできた陶器みたいに、大切に優しく触れたいんだ。
だけど、その綺麗な瞳に映っているのは俺じゃない。
だからせめて、いちばんの『友達』で居させて。
「…鳳」
「ん?どうしたの?」
「…後ろ向いてろ」
「わかった」
こつん、と何かが背中に当たる。
そして暖かい雫が服を濡らした。
俺の背中で泣いている君はきっと辛そうな顔をしているんだろう。
「(もう、そんな顔しないで)」
本当は抱きしめたいけど。
きっと君は混乱すると思うから。
人一倍自分の弱いところを見せない君が俺を頼ってるんだ。
そんなことが嬉しいんだ、と伝わりますように。
と祈りながら背中の温もりを感じていた。
「…もういいぞ」
俺が後ろを振り返ったときには既に、涙の跡は消えていた。
「すっきりした?」
「…俺は泣いてなんかない」
「…そうだね」
こういうところは、強いと思う。
そして最後に、一歩進んだ君の笑顔が見られるんだ。
「ありがとう」
と言って君は去っていった。
(そんな嬉しそうな君の顔が見たいから)
(だから、笑って)
そしていつか、大好きだよって伝えるから。
(だからそれまでは、いちばんの『友達』で居よう)
―END―
* * * *
(あとがき)
切ない片思い。
日吉の相手はお好きな相手を思い浮かべてください^^
08.10.09
09.01.11加筆