Hyotei

□甘い甘いキスのような
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きらきらとピンクなオーラを振りまくバレンタイン。
鬱陶しいほどの甘い香り。
積みあがるプレゼントの山。
今年は素直にそれを受け取れない。
何故なら欲しいと思う人が居るから。



「お前からのチョコが欲しい」

「は?」

「バレンタイン、チョコが欲しい」

「…アンタ色んな人から貰うでしょう」

「日吉からじゃねえと意味ねえんだよ、それに今年は全員断る」

「…はぁ、あげますから他人に迷惑はかけないで下さい」


アンタにあげる人が可哀相でしょう、と言ったので一応受け取りはした。
今年は素直に喜べそうにないな、と嘲笑しながらいつもの如く積みあがるトラックを見る。
浮き足立ったこの雰囲気があまり好きではないのか、日吉は不機嫌そうに眉をしかめていた。
多分こいつもいくつかのチョコはあるだろう。
そして相手の気持ちを無下にも出来ずに貰ってしまう。
途端にいらっとくる。
醜い独占欲。それぐらい溺れている証。
どうしようもなく好きで、どうしていいかわからなくなる。
寒空の下部室に戻ろうと振り返ると日吉がいた。


「跡部さん」

「アーン?…早く戻れ、風邪引くぞ」

「約束のものですよ」


きれいな弧を描き日吉が投げたものをキャッチする。
視線をそれに向けると、小さな包み。
甘い香りのするそれは俺が頼んだもの。


「…不味くても文句言わないで下さいね」


ちらりと横目で俺の反応を伺ったあとすぐに踵を返しとっとと戻ろうとする日吉の腕を掴んだ。
驚いたように俺の顔を見る日吉の頬が若干朱に染まっていたと思う。
そのまま自分の方にぐん、と引っ張り軽く口付けた。


「これは礼だ」


にやりと笑ってやると見る見るうちに顔を火照らす。
キスなんて数え切れないくらいしていてもう慣れても可笑しくはない。
それにも関わらずこの初々しさに思わず頬が緩む。
切れ長の目を見開き何か文句を言おうとしているのか口をぱくぱくさせている。
やっぱり可愛い。


「な、な、何す…!」

「ククッ…可愛い反応だな」

「っ可愛くないです!」

「それが可愛い」


生憎お返しとしてあげられるものは何もない。
だから今は、この気持ちをプレゼントしよう。
甘い甘いキスにのせて。



END.



*  *  *  *

バレンタインなので甘く。甘く。
うざったいぐらいに甘い跡日でお送りしました^^←

なんたって氷帝きってのバカップル。
相思相愛ですからね!見逃してやってください!(ちょ

一日遅れましたが二人に幸あれ!


09.02.15

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