□存在価値
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ジャンプは赤丸ジャンプに。
レディース4は先月号のを用意しようかと思ったが、新八は素直に頼まれた物を買った。
やっぱり、あの人達の笑顔が見たいからね。
ちょっと甘やかしすぎてるかなぁとは思う一方で、それとは逆の思いもあった。
ああいう憎まれ口を叩くのも、愛情の裏返し。
僕は、キチンとそれを知っているから。
だから、今までやってこれたんだよ。万事屋は。
ボケキャラがいて、毒舌キャラがいて、ツッコミがいて・・・・・・とか、そういう事じゃない。
僕は僕。君は君。
一人一人が、必ず誰かの役に立つために生まれて来たわけじゃないんだ。
存在理由とか、その価値とか。
悩んでいた自分が、馬鹿みたいに思えた。
新八の心は、晴れ晴れとしていた。
「ただいま〜。買って来ましたよ。頼まれたもの」
パン!パパン!
「!!?」
万事屋のドアを開けた瞬間、カラフルな何かが盛大な音を立て、新八に降りかかった。
「「Happy birthday 新八!」」
「・・・・・・えっ?」
銀時と神楽が持っているのはクラッカー。
新八が目をあちらこちらへ走らせると、辺りが色とりどりに飾ってあった。
未だに呆然としている新八に、銀時が言った。
「装飾の準備に、けっこう手間取っちまった。あと、悪かったな。時間稼ぎになるべく長い間外に行ってて欲しかったんだけどよォ。言い方キツすぎたか?」
「そうアルヨ。新八が怒るもんだから、銀ちゃん心配してたヨ。気が気じゃなかったみたいアル」
「・・・・・・・・・」
テーブルには、二人の小遣いで買ったと思われるケーキがのっていた。
やっと全てを理解した新八は眼鏡を取り、目頭を押さえ、呟いた。
「あり・・・がとうござい・・・ま・・・す」
僕の居場所は、ここしか無い。
ここが一番、暖かい・・・・・・。
〈完〉