□存在価値
2ページ/3ページ





ジャンプは赤丸ジャンプに。

レディース4は先月号のを用意しようかと思ったが、新八は素直に頼まれた物を買った。

やっぱり、あの人達の笑顔が見たいからね。

ちょっと甘やかしすぎてるかなぁとは思う一方で、それとは逆の思いもあった。

ああいう憎まれ口を叩くのも、愛情の裏返し。



僕は、キチンとそれを知っているから。


だから、今までやってこれたんだよ。万事屋は。




ボケキャラがいて、毒舌キャラがいて、ツッコミがいて・・・・・・とか、そういう事じゃない。



僕は僕。君は君。



一人一人が、必ず誰かの役に立つために生まれて来たわけじゃないんだ。



存在理由とか、その価値とか。



悩んでいた自分が、馬鹿みたいに思えた。







新八の心は、晴れ晴れとしていた。











「ただいま〜。買って来ましたよ。頼まれたもの」


パン!パパン!


「!!?」

万事屋のドアを開けた瞬間、カラフルな何かが盛大な音を立て、新八に降りかかった。


「「Happy birthday 新八!」」


「・・・・・・えっ?」

銀時と神楽が持っているのはクラッカー。

新八が目をあちらこちらへ走らせると、辺りが色とりどりに飾ってあった。

未だに呆然としている新八に、銀時が言った。

「装飾の準備に、けっこう手間取っちまった。あと、悪かったな。時間稼ぎになるべく長い間外に行ってて欲しかったんだけどよォ。言い方キツすぎたか?」

「そうアルヨ。新八が怒るもんだから、銀ちゃん心配してたヨ。気が気じゃなかったみたいアル」


「・・・・・・・・・」


テーブルには、二人の小遣いで買ったと思われるケーキがのっていた。



やっと全てを理解した新八は眼鏡を取り、目頭を押さえ、呟いた。





「あり・・・がとうござい・・・ま・・・す」








僕の居場所は、ここしか無い。




ここが一番、暖かい・・・・・・。











〈完〉
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ