□存在価値
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時々、思うんだ。




僕は必要な人間なのかって。








ある日の午後、万事屋で志村新八は、声には出さずに頭の中で呟いた。



自分の存在価値なんて、自分で決めるのは可笑しいと思う。


けれど、やっぱり考えちゃうんだ。




僕はみんなから認められているのか。


僕は頼りにされているのか。


僕は・・・生きている意味が・・・





「新八ィ、ジャンプ買ってきてくれ」

不精者な銀時は、すぐ人に頼みごとをする。

新八は当然断った。

「嫌ですよ。自分で行ってきてください」

「何だとコラ。お前の利用価値なんざ、ゴミに等しいくらいしかねェんだぞ」



いつもなら軽く聞き流す冗談だったが、今日に限って心が痛んだ。



「早く行って来いよダメガメ。ついでに私の酢昆布もよろしくネ」

神楽も銀時の肩を持つ。

「あと帰りに、なんか甘いモンも」

「あっ、銀ちゃんズルイネ。じゃあ私はレディース4追加!」

「つっ立ってねぇで早く行け。パシられるくらいしか能がねぇクセに」

「ッ・・・分かりましたよ!行けばいいんでしょう!?行けば!!」

半ば八つ当たりのようだが、新八はつい声を荒げた。

「・・・・・・あ?」

新八の様子がいつもと違う事に気づき、銀時はソファーから上体を起こして、新八を見た。

しかし、冷たくこう言った。

「何でキレてんのか知らねぇけど、早く買って来い。そんで道に迷いながらでもゆっくり帰って来い」

「分かりましたッ!!」


バタン!


玄関が壊れてしまうのではないかという程新八は強くドアを閉め、階段を下りて行った。

明らかにイライラしながら通りを歩く新八の姿を万事屋の窓から確認した銀時は、神楽に言った。


「さてと・・・それじゃあ俺らも働くか」







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