守り神っ!?
□右と言われたら左。
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学校の帰り道。
なんだかキョロキョロと辺りを見回している、不思議な男の子がいた。
「なぁ、どうしたんだ?」
振り返ったその子を見て、オレはちょっと後悔した。
だってさ…袖無しで膝丈の深い青色した着物に、同色の半ズボン。髪の毛なんて、上は銀髪なのに、毛先にいくにつれて黒くグラデーションだ。
明らかに人間ではないよな、この子。
「どうもしてないよ」
「ほんとか?」
「ウソだよ」
…なんなんだ。コイツ。
「どっちなんだよ」
「さあ?」
掴み所が無い。
ていうか、意味が分からない。
見た目は小学生なくせに、目付きは無気力。そのせいでこの子が纏う雰囲気は見た目よりも大人っぽい。
…目付きの無気力さについては、オレも人のこと言えないけどな。
「何か探してんのか?」
「なにも?」
「探してないのか?」
「ウソ。探してる」
いや、どっちだよ。
さっきからこの子は、オレが言うことと逆のことばかり言っている。
新手の遊び?最近流行ってんのか?
いやでも、この子は明らかに人間じゃないもんなぁ。もしかしたら子どもじゃないって可能性もある。
「…黒いマフラー…」
「黒いマフラー?」
「ううん。白いマフラー」
…またかオイ。
でも最初、オレが聞き返す前に「黒いマフラー」って言ったんだ。
しかも、オレが言ったことと逆のことを言うってのが本当なら、黒いマフラーを探してると取って間違いないだろう。
ちらほらと通りかかる人たちがオレに若干白い目を向けてきている。
…見えない人からしたら、オレ、一人で喋りまくってる不審者だもんな。
「あー…とりあえず、オレんち来るか?手助けくらいは出来るし」
「行かない」
はいはい、来るんだな。
わざわざ反対のこと言わなくてもいいから。面倒くさいだろうに。
「なぁ、名前は?」
「…閑(しずか)」
閑、ね。
どうやらオレはまた厄介事を自分で誘い込んでしまったらしい。