守り神っ!?
□いざ行かん!ばっちゃの元へ
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朱雀をオレの服に着替えさせ、オレを含めた計4人は駄菓子屋に向かう。
あのきらびやかな衣装じゃなくても、バカ長い髪と、悔しいながらも綺麗と呼べるその顔で目立ってしまっている朱雀。
「おぉ隼人!美味い林檎があるよ!ほら持っていきな!」
「えへへー、ありがとーっ!」
…隼人もある意味目立ってる。
少し歩けば声をかけられ、また少し歩けば声をかけられる。顔が広いにも程があるだろ。商店街の人全員と知り合いだったりするんじゃないか?
「ほら朱雀さん、ここだよぃ。ばっちゃの駄菓子屋」
レトロな雰囲気が漂う駄菓子屋。
店先のベンチで買ったお菓子を食べる小学生がいたり、まだまだこの駄菓子屋は健在だ。
「ばっちゃ!こんちはー!」
「こんにちはーっす」
ばっちゃがいるか確認をするために、店先で声をかける。まぁ、ただの挨拶なんだけど。
「はい、こんにちは。おやまぁ…隼人ちゃんじゃないの。斗真ちゃんは久しぶりねぇ。隼人ちゃんが来たってことは、あの子のお話かい?」
店先に出てきたのは、少しふくよかなお婆さん。この人がばっちゃだ。
もうお年寄りなのに、ボケというものとは縁遠い。しかも察しが良いから助かる。
「うんそう!まだいるよね?」
「えぇ、いますとも。さぁ、お上がんなさいな。如月くんも、そこのお友達も一緒に」
にっこりと優しい笑顔を浮かべながら、店の奥へ入っていくばっちゃ。
オレが小さい頃に如月とよく来ていたから、ばっちゃは如月のことも知っている。
初めて会う朱雀にも優しいばっちゃは、そのうち詐欺にでもひっかかりそうで心配だ。
「あ、じっちゃ!こんちは!」
「隼人か。今日は懐かしい子を連れてるようだな」
店の奥にある座敷に、爺さんは新聞を読みながら座っていた。爺さんのことをじっちゃと呼ぶのは隼人ぐらいなもんだろう。
「和彦さん、斗真ちゃんたちが、あの子を迎えに来てくれましたよ」
「ん、早く連れて帰らせなさい」
「はいはい、お店をお願いしますね」
爺さんのキツイ言葉にも、慣れた様子でにっこりと笑顔を浮かべるばっちゃ。
オレなんてドキッと身を竦めたのに、さすがばっちゃだ。