同人小説長編

□白く染まる、その前に。
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Act.1 季節の訪れ








ぼんやり見ていた窓の外が暗くなっているのに気付く。

カーテンを閉めて、明かりをつけたほうがいい。
そうは思うけれど、それを行動に移す気にはならなかった。



小さく息を漏らし、壁に掛けてある時計に目を写す。
七時四十二分、それが針のさす時刻だった。まだ早い時間なのに、外は少しずつ色を深め、黄色や白の光がポツリポツリと灯り始めている。


夏が終わり、秋になったのだと思う。そしてあまりに早い時間の流れに、ついていけないと感じてしまう。




今自分が沈み込んでいるソファは、一面白色に染まっている。

あいつが「晋ちゃんが隠れたりしないように」とおれの希望する黒いベロア地のものを却下して、白い皮のこれを選んだ。

自分は白の中に隠れてしまうくせに、と思ったりしたのだが、今となっては気に入っている。



静かな部屋の中にピロピロと無機質な音が響く。
赤い小さなモバイルのその音は、メールを受信したことを知らせていた。

あいつからのメール。
――ごめん、今日遅くなる。
内容を確認。脳みそで処理、理解。
それから、ふ、と息を吐いて返信。
――了解。








干渉が嫌いで、馴れ合いなんてできないおれたちが恋人、なんていう関係になるのは無理なことだったのかもしれない。


もう、やめてしまおうか。

そう思ってしまう。
今までのおれたちが、友達なんて陳腐な言葉で表せる関係だったのかは分からない。
それでも他人より近くて、面倒くさくない、楽で気軽なあいつとの距離が好きだった。





高杉、一緒に住まない?

あのとき手をとってしまったのは、拒むのが怖かったからだ。
そして今別れを告げないのも、同じ理由だろう。











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