とある魔術の禁書目録

□第2章
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次の日、秋持はいつも通り風紀委員のパトロールをしていた。

朝起きたときは頭も体も痛かったのだが、学校で寝ているウチにある程度回復したのである。

昨日と同じ道を歩いているとコンビニに出会ったばかりだがかなり強烈なインパクトを残すやつを見つけた。

秋持はコンビニに入ると声をかける

「おーいビリ…御坂ーっ!」
 
秋持の声に反応した御坂はこっちを見る。

「あーアンタか。どうしたのよ」

「いや、偶然発見したから。ていうかお前毎日漫画読んでんの?」

素直な驚きを浮かべた秋持の顔を見た美琴は不機嫌そうに言った。

「誰かさんのせいで昨日読めなかったからよ。……アンタまた私の邪魔しに来たわけ?」

「いえいえ滅相もない!!まぁ別に用はないし、じゃぁ行くよ」

いそいで振り返った秋持の体に痛みが走る。

何だかんだで完治したというわけじゃないのでちょくちょく痛むわけだ。

カクン、と膝は折れその場に尻餅をつく形でこける。

「いってぇ!」

「ぷっ…!あはははは!何やってんのアンタ馬鹿じゃない!?あははははは!!」

それを見た美琴は大声で腹を押さえて笑っている。

その後もけっこうな間笑われた。

「…ふぅ。アンタなかなか面白いことしてくれるじゃない。ほら、特別に美琴センセーの手を貸してあげるわよ」

御坂は秋持に手を出す。

その手を掴み、秋持は立ち上がる。

「っ…!」

腹に力を入れたときに少し痛んだ。

それを御坂は見逃さなかった。

「…アンタ、怪我でもしてんの?」

「…………うん。」

「また喧嘩に首突っ込んだりしたんでしょ。」

「…………うん。」

はぁ。と溜息をついた美琴はめんどくさそうに言う。

「そんなんじゃ仕事できないだろうから、特別にこの私が手伝ってあげるわよ」

「は?いいよそんなん。迷惑だろ?」

「いいわよ。一応昨日…私を送ってくれたわけだし。」

「んー」

「じゃぁ、決まりね。さっさと行くわよ」

無理やり手を引っ張ると外に出る。

秋持はパトロールとなのでで街の様子を見てまわる仕事だ。

美琴と一緒に街を見て回っていた。

「結局アンタ私の邪魔しに来たのよね?今日も漫画読めなかったし」

「いやいや、別に手伝ってといったわけじゃないじゃん」

「目の前に仕事中なのにボロボロでいつズッコケてもおかしくないヤツが居たら私はいい人だから見過ごせないのよねー。しかもそいつその状態で喧嘩とかはじめそうだし」

「何言ってんだよ。俺はロハスに生きるって決めたから大丈夫。」

「大体そういうセリフ言うやつってすぐ喧嘩するわよね」

そういう話をしていると、柄の悪い集団が一人の男を取り囲んでいるのが見える。

髪は茶色。作業着のような服を着た男が取り囲まれている。

「おいこらっ!」

秋持はその集団に向かって走り出す。

「って全く予想通りかよ!!ちょっと、少しは自分の言葉に責任持ちなさいよ!」

美琴はあまりの秋持の言葉の薄さに驚きながらも遅れて後を追う。


ドンッ!!


「うおっ!?」

走っていた秋持は途中で止まる。

いきなり、地面が爆発した。

囲まれていた男の周りが爆発し、囲んでいた男達が吹き飛ばさた。爆風で男達が秋持の足元まで飛んでくる。

「な、何!?一体何が起こってんの!?」

遅れて秋持に追いついた美琴は状況が分からない。

丁度秋持の背中でよく見えなかったため、分かっているのは今のが爆発音ということくらいだ。

「俺にも分かんねぇよ。いきなり真ん中で囲まれてた男の周囲の地面が爆発した。」

「はぁ!?何よ爆弾でも仕込んでんの!?」

爆発した位置から、ゆるりと人影が出てくる。

囲まれていた男だ。

あの爆発の中、傷一つない。

いやらしい笑みを浮かべている男は若干タレ目で、性格が悪そうに見える。

ゆっくりとこちらに歩いてくる。

秋持の5mくらい前で男は止まり口を開く。

「ごめんね。いきなり囲まれちゃったからやっちゃったよ」

男の口調には余裕があり、人を見下したような喋りかただ。

「あんまし騒ぎ起こしたくないんだけどさぁ。ま、これ以上騒ぎ起こす前に目標に接触できてよかったよ。」

目標?秋持は黙って聞く。

「秋持悠一くん。キミだよ。まぁ、正確にはキミが持ってるもの、かな」

クスリと笑うと男はいう。

「残念だけど、キミはここで死んでもらうよ。その脳を残してね。」

瞬間、秋持の足元が爆発する。

「くぅっ…」

秋持は後ろに下がろうとして、バランスを崩す。

そのまま倒れてしまう。

「じゃぁ、いただくよ」

男が言うと同時、秋持の目の前を閃光が走る。

秋持のやや後ろから撃ちだされたオレンジ色の直線は、男の横を突き抜ける。

それでも男の顔から余裕が消えることはない。

「さっきから何わけわかんないこと言ってんのよ。私を置いてけぼりで話してんじゃないわよ!」

御坂美琴は言う。

「いや、俺もけっこう話分かってないんだけど…」

「うるさいわね!とにかくアイツあんたを殺そうとしてるわけでしょ?だったら敵よ。」

「まぁそうだけどさ」

秋持は立ち上がる。

「ま、俺だってそんな簡単にやられてたまるかよ」

が、しかし御坂に襟元を捕まれて後ろに投げ飛ばされる。

「いってぇ!!何すんだよ!」

本日二度目の尻餅をついた秋持はいきなり投げ飛ばされてケツを強打したためちょっと涙目だ。

「アンタ怪我してんでしょ?そんなん邪魔なだけよ。下がって防御に徹しなさい。」

御坂は秋持の居た男との距離5mの位置に立つ。

「ま、そういうわけだから。アイツ殺したきゃまず私を倒してからにしなさい」

男は薄い笑みを浮かべると

「あぁ、構わないよ。キミを倒して彼をいただくとするよ。」

男は余裕の表情で言う。

「おい、御坂!!お前は逃げろよ!」

「はぁ!?なに言ってんのよ!アンタこそ逃げるべきでしょ!?」

「そんなことできねぇよ!」

「私だって出来ないわよ!!」

「余所見してていいんだ?」

男が言うと同時、男の足元が爆発する。

爆発で飛び散った無数の地面の岩が、美琴目掛けて飛んでいく。

「ふん、何よこの程度」

余裕、といった感じで全ての岩を御坂は電撃で撃ち落とす。

「へぇ。やるね。」

男の手には日本の警棒くらいの太さの棒が握られている。リーチが長いのが厄介だ。

踏み込むと同時、足元が爆発。その爆発の勢いを利用して、男が一気に突っ込んでくる。

美琴は後ろに下がりながら雷撃の槍を繰り出す。

男はそれを棒でガードする。するとその棒は爆発して、爆風で周りを覆う。

煙で視界が狭くなっている。

美琴が辺りを慎重に探りながら少しずつ前にすすんでいると。

ふと美琴は自分の足元から線が延びているのに気づいた。

その線を不審に思い、下がろうとした瞬間。

美琴の体から力が抜けた。

「なっ!?」

美琴はそのまま膝をつき、体を支える。

「引っかかったね。」

男の声が聞こえる。

「…アンタ、何したのよ」

「親切に教えてあげる必要はないけど、まぁキミには教えてあげるよ。」

さっきまでと違い、男はどこか早口だ。

それにさっきまでの余裕が感じられない。

「この術式は相手の能力を封印するためのものなんだよね。」

「!?」

「ホントはもっと奥の手として使う予定だったけどね。でもキミと戦ったら無事じゃすまないだろうし。今日は僕一人だから今やられるわけにはいかない。」

男は仲間がいるらしい。一体何人の仲間がいるのだろうか。

「…そろそろ騒ぎを聞きつけて人が来そうだ。それにこの術式はおそろしくスタミナを消費するからね。」

「くっ…」

美琴は今がチャンスだと思った。

だがしかし、力が入らない。それに能力も使えない。

さっきから使おうとしているものの、電撃は出てくれない。

秋持に伝えようにも随分後ろのほうにいかせたし、あまり声も出ない。

だんだんと意識が遠のいていく。

男の逃げる背中を追えない。

最後に男の声が聞こえた。

「その術式、無理に壊したりすると能力まで一緒に壊れちゃったりするかもしれないから気をつけたほうがいいよ。」

そう言うと男は消えた。

美琴の意識もそこで途切れた。
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