生徒会SS

□節分する生徒会
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「福を招くのよ!!」

会長が名言ではなく。ただ、一言。これからやろうとする事を現している一言を小さな胸を張って言った。

「………」

いかにも節分ですよオーラを醸し出す豆。鬼の面。金棒(必要か!?)が用意されている。

ここから分かることは二つ。

・会長は今から豆まきをしようとしている。

そして

・鬼の役は確実にこの俺、杉崎鍵がやることになるであろう事だ。

「さぁ、豆まきやるわよ!!杉崎、これかぶって!!」

「チクショウ、やっぱり思ったとおりか!!」

「アカちゃんの思考なんて3日くらい一緒に居れば誰でも読めるものよ。」

「知弦!?私はそんなに甘くないわよ。今もしっかり環境問題について考えてるし。」

「ほうほう。豆投げようと張り切ってる会長は、ずばりどんな事を考えているんです?」

「このままじゃ、温暖化が始まる。」

「もう始まってますから!!」

「もうすぐ、ペンギンさんの国の氷が溶け始める」

「だからもう溶け始めてますって!!」

「私は、温暖化に関係ない。」

「いきなり無関係宣言!?何て自分勝手な!!」

「むしろ私がいるからこそ、地球温暖化の進行を防げているんじゃないかな!!」

「何その自分中心な考え!ていうか防げてないんですって!!」

いい加減疲れたので近くにいる深夏に助けを求める。

「た、助け…」

「さて、豆まきするか。鍵、ちっとばっか骨格歪むかもしれねぇけど勘弁しろよ」

「できねぇぇぇぇぇぇぇ!!」

助けを求めた相手に骨格を変形させられそうになり、なかなか怖い。

そこで次なる助けを求める。

「助けてくれ!真冬…ちゃん…………の隣の知弦さん!!」

「何で飛ばすんですか!?前にもありましたよこんなこと!!」

(生徒会の四散参照)

「だ、だって……ほら、ねぇ」

「ひどいです杉崎先輩。真冬だって好きな人を助ける力くらいはあります。」

「………」

真冬ちゃんには告白されたことがある。

好きだって言われて、すごい嬉しかったし、俺も大好きだ。

でも、さりげなく言われるほど気恥ずかしいものはない気がする。

「これでも今まで好きな人のために世界を敵に回したことだって何回もあります。」

「やっぱりゲームの話か!!」

「それが真冬の物語なんです!」

「FFXだね!?」

「杉崎先輩は色々知ってますね。だから好きですよ」

えへへ、と可愛らしく舌を出して笑う真冬ちゃんに思わずドキッとしてしまい、顔を背ける。

「むー、何で顔を背けるんですか!!ちゃんと真冬の目を見てください!!」

「あ、うん………」

そう言われても照れるものは照れるので仕方がない。

「ち、知弦さーん」

思わず助けを求めてしまう。が、彼女はなにやら金棒に何か施している気がする。

「ち、知弦さん……………?」

思わずそっちからも目を背けたくなるくらい、禍々しいオーラが出ている。

そして、確かにそこで俺は鬼を見た。

「何かしら」

振り返った知弦さんの表情からは、俺程度の小動物を威嚇するには十分すぎる程の殺気が放たれていた!!

なぜか笑顔で怖すぎる。

思わず知弦さん以外の皆が同じ場所に集まって知弦さんの距離を取っている。

「か、会長…鬼は知弦さんの方が合ってると切に思います。」

「あ、あたしも同感だ…鍵なんかとは比べ物になんねぇ」

「真冬も………そう思います」

「あ、あう…どうしよう、杉崎」

いきなり振られても困るのだが、ここでみんなを守れば好感度一気にアップだ!!

「会長、豆を投げるといいと思います」

それが出来たら苦労はしないんだよ!!

「い、嫌よ!!知弦に殺されるじゃない!!深夏に合ってる役割じゃない!」

「あ、あたしか!!本当に強い人間は圧倒的戦力の前に挑んだりはしない!!」

「いつものお姉ちゃんと違う!!」

そうこうしているウチにも鬼は金棒の調整を進める。

こうなったら……

「逃げましょう」

そういうと同時に荷物を持って皆で逃げ出す。

こうして、2月3日は幕を閉じた。




次の日、会長と深夏と真冬ちゃんに聞いて知ったのだが。

どうやら俺も含め全員悪夢を見たらしい。金棒を持った知弦さんの………

夢にまで介入できる知弦さんに恐怖を感じる体験だった。

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