ストライクウィッチーズSS
□ネウロイと想い
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基地内に警報が鳴り響く。
「バルクホルンさん!!」
トゥルーデを探していたらしい宮藤が大急ぎでやってくる。
「宮藤、迷惑をかけたな。出撃だ」
「は、はい!!でも…その……その格好は?」
「うわあっ!こら、服を返さんか!!」
「いやいや、似合ってますよ。それで大丈夫です」
「バカを言うな!!」
時間も無いからか、トゥルーデは忌々しそうに僕を見て、そのまま出撃することにしたらしい。
耳をはずしたのは残念だけど……
「あっ…と、僕も、行きましょうか?」
「いい。お前は残っていろ」
そう言うと二人はさっさと走っていった。
「………ネウロイ、か」
僕の呟きは、二人に届かない。
※
私と宮藤は滑走路へ向けて走っていた。
ふと、宮藤が口を開いた。
「ヘイさんは、出撃しないんですか?私、一度も戦っているのを見たことないです」
「あぁ、アイツか。アイツは、あれでいいんだ。」
「…どういうことですか?」
「…アイツは、触れただけでネウロイを消滅させれるんだ。」
過去に何度か見た能力を、宮藤に説明する。
なぜ、どうなっているのか、能力の詳細は不明だ。
「それなら、なおさら出るべきじゃ…」
「…それは、誰よりも一番前に出ることだ。一番、危険な所に。」
ネウロイに触れるだけで消滅させれる。
でも、ネウロイに触れなければどうにもならない。
「それに、触れるにしてもコアから離れすぎていればネウロイは消せない。まぁ、有効範囲がどれくらいかもよく分からないが…」
「そう、なんですか……」
宮藤は真剣に話を聞いている。
「それに、アイツはシールドを張る力がない。飛行能力は軍から支給された特別なバンドで補っているんだが…負担も大きい。それに15分もすればバッテリーが切れる」
「…だから、よっぽどの時じゃないと戦闘には参加しないんですね。」
「そういうことだ。」
一通り説明を終えると、宮藤はクスリと笑った。
「…どうした、宮藤?」
「…バルクホルンさんは、ヘイさんを大事に思ってるんですね。」
「!?」
「皆、彼のことを大事に思ってるでしょうけど、バルクホルンさんは特に…」
「う、うるさい!!さっさと行くぞ!!」
それ以上宮藤の話を聞かず、滑走路へと走った。
※
皆が出撃した後の滑走路で、僕は一人突っ立っていた。
11人全員が出撃したらしい。
基地は恐ろしく静かだ。
それにしても、今回は異常だ。
,,,
ネウロイが、三体も現われた。
「……時間が、ないかもな……」
ふと、空を見上げる。
「!?」
何やら、黒い物体がこちらに向かってきている
恐らくあれは……
「………くそったれ。やってくれるな」
恐らくあれは、ネウロイだ。
時間差で四体目が出現した。
基地には誰も残っていない。
,,
俺がやるしかない。
足につけていたバンドについているスイッチを入れる。
そして思い切り地面を蹴り、飛ぶ
武器は持たない。
武器を持つと動きが鈍る。時間が限定されているからには、速攻決める必要がある。
触れれば勝ちだ。
坂本少佐が居ないため、コアの位置が見抜けないのは痛いが、やるしかない。
10秒とかからず、俺はネウロイの前に立ちはだかった。