ストライクウィッチーズSS

□飛燕四号作戦
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午前7時10分

「起床の時間は過ぎているぞ、早く起きろ、ヘイ。」

「……あと80分……」


バルクホルン大尉がご丁寧に僕の部屋に起こしに来てくれていたみたいだ。


「お前までハルトマンと同じ事を言うな!起床だ!起きろ!」

ガバッ

「お布団返してください…ゲルトさん…」

「いいか、起床は何時だ?ヘイ。」

「あ、ゲルトさん、シャツ裏返しですよ?」

「下らんことを言ってないで早く顔を洗って朝食をとれ。」

「あ、すんません。自分ちょっとサーニャんの部屋に行ってきます。」

「何だ?サーニャに用があるのか?サーニャは夜間哨戒から帰ってきて寝ていると思うが…」

「ふふん、ヤボヨーってやつですよ。」


そうして僕はフラフラとした足取りでドアへ……


「…まさかお前…サーニャの部屋で寝るつもりか?」

「ギクーーッ!…そんなことないですよぉ?」

「はぁ……お前というやつは…」

「え、いや、ちょっとサーニャんの部屋で休ませてもらおうとですね…」

「同じことだ!……仕方ない…坂本少佐とミーナ中佐を呼んでこよう」

「ごめんなさい。すぐに着替えて朝食とります」

「私の言うことは聞かないで坂本少佐とミーナ中佐の言う事は聞くのか…いい度胸だな。」

「ゲルトさん何かからかうと面白いですもん。」

「なっ!?」


服を着替えようと寝巻きの上を脱ごうとする


「お、おい!いきなり脱ぐな!じゃ、じゃぁ私は先に行っているぞ」

「うん、やっぱ面白いですわ。」


キッと僕を睨みつけるとバルクホルン大尉は部屋を出ていった。

念のためドアを開けて外を見る


「まったく…裏返ってないに決まっているだろう…」


さっき言った冗談を少し気にしていたのかシャツをチェックしていた

あぁ、やっぱ面白いですわ

あとでからかってみよう。


「ふぅ……朝ごはんだー!ひゃっほーう!」


廊下の曲がり角で運命的な朝ごはんとの出会いを期待して部屋を出る。

途中ロールパンがあったから少しつまんだ。


「痛てっ」


曲がり角で誰かにぶつかって、僕はずっこけた。


「おい…大丈夫か?ていうか男のくせに何ずっこけてんだよー」

「朝ごはんまだで……足腰不安定なんです…」

「そっか。ならさっさと食べろよな」

「エイリャンは、もう食べたのかな?」

「む…その呼び方ムカツクのは私だけか?」

「あ、僕もこう呼ばれたら嫌かな。」


バシッ


「ぐはっ」

「次言ったら蹴るかんな。」

「了解っす!エイラさんで。」

「じゃ、私は部屋帰るからさ。」


エイラさんと別れた僕は食堂へ急ぐ。腹減りすぎてやばい。


「うぃーっす!」


食堂にはゲルトさん、シャーリーさん、芳佳っちがいた。


「やっときたか、遅いぞ。」

「ゲルトさんが早すぎなんですよ…人間マイペースが大事ですよ?」

「あぁ、私もそう思うな。ちょっと堅物すぎるんじゃないかー?」


シャーリーさんは分かっているなぁ。大好きです。


「シャーリーさんは朝食終わったらまたエンジンいじったりするんですか?」

「いや、今日はお風呂だな。昨日ルッキーニと徹夜して疲れたからな」

「ふむ、お風呂ですか…ふむ。」

「ん〜何だ〜?お前私に興味あるのか?え〜?」

「あ、えっと…その…」


チラリとゲルトさんの方を見る


「な、なぜ私を見る。関係ないだろう。」

「だってゲルトさん、僕が特定の人と結ばれたら悲しむでしょう?」


カッ

フォークが飛んできた。頭めがけて。


「ふぉわぁぁぁぁ!?」


紙一重で僕はフォークをかわし、芳佳っちに向けて親指をグッと向ける

シャーリーさんと芳佳っちから拍手をいただく。


「すごいです!」

「お〜やるな!」


だてに軍に所属してねぇぜ!

と、言おうと思ったけど足腰不安定な僕はずっこけた。


「ぎっしゅ!」


うわぁ…何か恥ずかしいこと言っちゃった……


「で、何で私が悲しむんだ?」

「いや、いつも起こしに来てくれるし…その…この前なんか目覚めのキスを…」

「なっ!?」

「バ、バルクホルンさん、そんなことしたんですか!?」


芳佳が驚いてこっちも見ている。

シャーリーさんは対照的にニヤニヤしてこっちを見ていた


「ち、違うぞ宮藤。私はそんなことは一切していない!そもそも起こしに行ってるのは部下が自堕落な生活をおくらないようにだな…とにかくこいつにキスなんてすることはない!絶対にない!」


やべぇ…泣きそう…


「おいおい、もっと優しく言ってやれよな。すごいへこんでるぞ……」

「ひっく…うぅ…」

「トゥルーデひどーい」


いつの間にかハルトマン中尉がテーブルで朝食をとっていた。


「ハ、ハルトマン!?お前いつから…」

「トゥルーデが早く来いってしつこく言ったんじゃーん。ぶー」


あ、頬を膨らましてるハルトマン中尉がすごい可愛い……


「まぁ、少しおふざけがすぎました…すいません…」


深々と頭を下げる。


「あ、あぁ。まぁ、今回は、許してやろう」

「じゃぁ、僕は部屋に戻ってますね。」

「あれ?食べないのか?」

「ちょっと用事があるんで食べてると時間がなくなりそうなんで…」

「えっと、良かったら私が手伝いましょうか?」


芳佳っちが僕に向かって言う。

いい娘さんだ…


「んーいや、大丈夫。気にせずみんなでお風呂でも入ってるといいよ。」

「そ、そうですか?」


そうだ。お風呂に入ってくれるといいのさ。

僕の計画のために…

男なら一度は通る道だ。

ばれたら命が危険だが……

立派にやりとげてみせる。

そうして、僕の計画が実行にうつされる時間が近づいていった。
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