Novel

□猫になれ
1ページ/6ページ



ああ、なんて馬鹿なことをしてしまったんだオレは。
まさか、こんなことになるなんて思いもしなかったんだ。

だって、さっき出てった君が…本当にこんな姿になって戻ってくるなんて。



猫になれ



獄寺と、喧嘩をした。

あれは、絶対に獄寺が悪い。オレは悪くないのな。
オレと獄寺は、仮にも恋人ってやつだ。付き合っている。
なのに獄寺は相変わらず冷たいし、口を開けば10代目10代目。
オレ、結構嫉妬深いんだぜ。お前全然わかってねえよ。

今日だって、オレが久しぶりに部活ない日だからどっか遊びに行こうって言ってたのに、ツナの補習に付き合うって言い出してオレには先帰っとけだって。
やっと帰って来たと思ったら、謝りもなしで「お前の約束より10代目優先するのは当たり前だろーが」だとさ。
さすがのオレもキレて言い合いになり、怒った獄寺は大きな音を立てながら扉を開けて出て行ってしまった。

「何だよ…!オレは絶対、間違ってねえのな!!」

一人残された部屋で、苛々して手元にあったクッションを壁に投げ付ける。
あっやべえ。手加減すんの忘れて中身出ちまった…。
まあいっか。獄寺のだし。

そう、何を隠そうここは獄寺の部屋だ。ほっとけばその内、嫌が応でも帰って来るだろうけど。
とりあえず、オレは絶対折れてやらねーかんな。
獄寺の言葉を思い出して、また苛々が沸々と沸き起こってくる。

「くそっ…普通彼氏を優先すんだろーが。獄寺なんか、帰って来たら無理矢理ピーしてピー突っ込んでその上ピーをピーしてぐちゃぐちゃにピーしてやるのなー!!」

ぼすっと勢いよく枕を殴ると、振動で横にあった本棚から大量の本が落ちてきて、まんまとその下敷きになってしまった。慣れないことはやるもんじゃないな、とつくづく思う。

「ぷはっ!いってー、何だよこの本の山は…」

頭の上に乗っていた本の一冊を手に取り、中身を開いてみる。

「何だ、これ…。呪いの本?」

そこには、色々な呪いをかける方法が分厚い本の中にびっしりと綴られていた。何て悪趣味な本だ。
周りに散らばった本を見ても、黒魔術とかUFOとか幻の生物だとか…変わった本ばかりだ。
確かにあいつの趣味、ちょっと変わってるもんな。

「呪いねえ…本当かよ」

ぱらぱらと適当にめくっていると、ふとある箇所に目が止まった。思わず食い入るように見つめる。

「…人を猫にする、方法」



次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ