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□猫の上手な甘え方
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「何だよ、これ…」
瓜が急に走り出すから何事かとついていったら、ある部屋に入って行ってしまったのだ。
慌てて追いかけて飛び込んだオレの目に映ったのは、あの日本伝統の暖をとる物体だった。
猫の上手な甘え方
「獄寺知らねーの?」
「いや知ってるけどよ…何でこんなもんがここに」
そう、その物体とは冬になると日本の家庭に登場するこたつだった。しかも何故か山本付き。
そこは入ったことのない部屋で、畳が敷かれた上に大きめのこたつが一つでんと置かれていた。
ここ、基地だよな…?
「まあとりあえず入るのなー」
さも自分の部屋のようにくつろいで手招きする山本。瓜は既にこたつの中に入り込んでいるし、暖かさに釣られて靴を脱いで中に入った。
「わ。あったけー…」
こたつの中に潜り込むと、冷えきった足の指先がじんわりと温かくなって、幸せな気分になった。
思わず、こたつを発明した奴って凄いよなあ、なんて見知らぬ人物に尊敬の念を抱いてしまう。
「ここ、10年後のツナが作らせたらしいぜ。冬はやっぱりこたつがいるだろって」
「じゅ、10代目が…!?」
さすが10代目。基地にわざわざこんな部屋をお作りになられるなんて、発想力が違う。
細かいところまで考えておられるんだなあ。
10代目とこたつを作った奴をぼんやりと思い浮かべていると、ふとこちらを見つめる熱烈な視線に気がついた。この部屋にそんな奴、一人しかいない。
「何だよ、野球バカ」
「んー?こたつに入ってる獄寺も可愛いなあと思って」
馬鹿だ。こいつ、本当馬鹿だ。こたつに入ってるから何だっつーんだ。
にこにこ気持ちの悪い笑みを浮かべている山本を一瞥して、大袈裟に溜め息を吐いた。
「で、お前はまた何でこんなとこでサボってんだよ。修行は?」
「今休憩中なのなー。寒くて出られなくなっちまった」
そう言って脳天気に笑うバカ本に何か言おうと体勢を変えた瞬間、こたつの中でふわふわしたものを思いきり蹴ってしまった。
この感触、どこか覚えがある。
「ん?何だこれ…って、なあぁあッ!?」
「ご、獄寺っ!?」
ふわふわした物体を何度か蹴っていたら、急に動き出してオレのつなぎの中に入って来たのだ。
多分、もしかしなくても瓜だ。怒っているのか、服の中で暴れている。
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