メ イ ン

□認めたくなかった
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俺を押し倒し馬乗りになった山本は、今まで見たこともないような顔をしていた。
普段はヘラヘラと笑っているのに、いつも笑顔しか見せないのに。
時折真剣な表情を見せることもあるけれど、こんな顔は見たことがない。
まるで表情がなくて、けれど、目だけはギラギラと輝いていて、俺を見下ろしている。

『やまもとっ…!』

批難するように名前を呼んだつもりだったのに、かなり情けない声が出ていた。
喉が震えていて、言葉がうまく紡ぎ出せない。
必死で抵抗するのに、ちっともうまくいかない。
そんな俺をあざ笑うかのように、山本は俺に圧し掛かったままずっと俺を見ていた。
どうしてだ。
こんなに暴れているのに、どうして逃げられない?


しばらく暴れていたら、体力も気力も無くなってきた。
それを見計らっていたかのように、ようやく山本も動く。
手を伸ばして、俺の胸倉を掴んだ。
殴られるのか?
一瞬思ったけれど、違うことにすぐに気がついた。
ビ―――ッと布の裂ける音。
来ていたシャツを裂かれていた。

『な、…!!!』

何をするのか、何をしたいのか分からない。
次の瞬間、俺は全裸になっていた。
胸元を破られただけだったはずなのに。
服ばかりではなく、アクセサリーの類も一切何もない。
何が起こったのか分からない。
混乱のせいで、まともな抵抗も出来ない。
すると、ありえない箇所に熱を感じた。

『な、に…?』

下肢の、俺ですら直接は触ったことのないその場所。
熱い感触に思わず下を見れば、信じられない光景が目に映った。
そこに宛がわれていたのは、山本の熱。
硬く反り立ったソレが、俺の中に入ろうとしていた。

『や、やだっ…!』

さっきよりももっと情けない声だった。
涙声で、首を振って山本に訴える。
けれど、山本は何も言わない。
行為を止める気配もない。
グイと、腰を押し進めてきた。

『やだっ!やだっ!!』

信じられない行為と、体を襲う痛み。
恥も外聞なく、俺はひたすら喚いた。
頬に水が伝う。
俺は泣いていた。

『うああああ!!』

奥まで、山本が入り込んできた。
痛い。
痛い。
恐い。
そんなわけが無いとは分かっているのに、体が裂かれてしまうのではないかとさえ思ってしまう。


『いやだぁ…!』

誰でも良い。
助けてくれ。
俺はあたりを見回して、絶望した。
この世界には、俺と山本しかいなかった。


なんだ、この空間は。
床も、天井も、壁も無い。
真っ暗闇の空間の中に、ただ俺と山本だけがはっきりと存在している。
ここはどこだ?


気がつくと、痛みが消えていた。
今感じるのは、手に何かを強く握っていること。
何かと思って手を見た。
けれど、手には何も握られていない。
一体なんなんだ。
何が起こっているんだ?
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