メ イ ン

□ヒットマン山本
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最近俺は命を狙われている。
ヒットマンの狙いはただ俺1人。
しかもかなり質が悪い。
なんたってそいつは、俺の恋人だったりするのだから。






「獄寺、目ぇキレイだな。すげぇキレイ」

することもして裸のままベッドでまどろんでいると、隣りで山本が呟いた。
まだ倦怠感が抜けないから、首だけを動かして山本を見たら目が合った。
嬉しそうに笑顔を浮かべてる山本。
そしてまた同じセリフを繰り返した。

「目、すごくキレイ」

スッと、俺の瞳に向かって手が伸びてきた。
迷いも無く、瞳に向かってくる指。
反射的に目を瞑ったら、瞼を撫でられた。

「触りたかったのに」

触る気だったのか。
残念そうに言う山本とは裏腹、俺は目を閉じて正解だっと心底思った。
眼球直接触られたら相当痛いぞ。
大体、さっきまでしていた行為を考えたら、その手もあまり衛生的ではない。
眼球傷ついたらどうするんだ。
目を瞑ったまま、今だに瞼を触る手を掴まてひっぺがした。

「ああ…」

剥されたことに、またしても残念そうな声を上げている。
おそるおそる目を開けたら、予想通り残念そうな顔をした山本と目が合って、直後にまた「あ、やっぱりキレイ」と言って破顔した。
掴んでいた腕が動いたから、握り締める手に力をこめた。
この野郎、また、触ろうとしたな。

「お?」

今度はなんだ。
次の興味は、どうやら自分の腕を掴んでいる俺の手、らしい。
布団に潜ったままだった片手も出して、俺の手を触り始めた。

「手もキレイだな。指、白くて長いのな。爪も透き通ってて、ツヤツヤしてる」

俺の手を見ながらウットリしてる山本はちょっと気持ち悪かった。
もう相手にするのは止めようと思って、山本の腕を解放する。
すぐに布団の中に手を潜らせようとした。
けれど今度は、逆に俺の手が掴まっていた。

「放せ。もう寝る」
「うんうん」

一応返事を返してはいるが、聞いている様子は全く無い。
飽きるまでの辛抱だ、放っておこう。
軽い溜め息のあと、再び目を瞑ると、指先にヌルリとした感触が襲った。
慌てて目を開けると、俺の指を口に含んだ山本がいた。
止めろ、と軽く睨むだけで訴えた。
次の瞬間だった。

「ッ…!!」

指に痛みが走り、反射的に手を引き抜いていた。
いきなりの出来事に俺ばかりか、なぜか山本までも驚いた顔をしている。
何が起こったのかと指先を見れば、第一関節の下辺りにくっきりと歯型がついて、血が滲んでいた。

「あ、ごめん」

指に滲む血が分かったのか、山本は口先だけで謝った。
悪びれた様子がない。
むしろ、少しがっかりしたような雰囲気さえある。
そうだ、こいつは時々こんなことをする。
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