メ イ ン

□夢を見ました
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セーラー服を着た獄寺が、目の前に倒れてる。
倒れてるっていうか、寝転がっているというか、微妙なところではあるが。
スカートが大きく捲くれあがって、太もも、つーかもう尻が半分見えてる。
ウルウルな目でこっちを見て、プルプルな唇を微かに動かした。

「……、…、………」」

確かに獄寺は何かを言ったけど、聞き取れなかった。
どうして聞き取れなかったのかは明白だった。
俺の耳は今、自分の心音しか聞こえてない。
うるさいぐらいに鳴り続けてる。
だってそうだろ。
俺はこんな獄寺を見たことがない。


真っ白が太ももが動いた。
あ、尻どころか、もっとその奥まで見えてしま………え?あれ?
獄寺って、女の子だったっけ?
見えてしまったそこには、男だったら本来あるべきものがない。
思わず凝視してしまうと、獄寺は俺に向かってゆっくりと足を開いていった。
あ、あ、やっぱり男じゃない。
何これ、どういうこと?
ていうか、この状況がどういうこと?
視線を獄寺の顔へと移せば、真っ赤な顔した獄寺がこちらを見てる。
また、唇が動いた。
今度こそ聞き取れるように、俺は獄寺の声に意識を集中させた。


「山本ぉ、怖いの、優しくして…」


あ、そうか。
これ夢だ。






「まぁ、そうだよな」

夢を夢だって気がついた瞬間目が覚めた。
目を開けたら、当然だけどさっきまでの獄寺は消えていた。
俺なんつー夢見てるんだろう。
そう言えば、あれどっかで見たことある。
前に野球部の奴らと見たAVだ。
セーラー服着るにはちょっときつい年齢の女の人がセーラー服着て寝てて、画面に向かっていうんだ。
「お願い、怖いの、優しくしてぇ…」
まんまだ。
『お願い』が『山本』にはなってたけど、女の人が獄寺の顔になってたけど、AVそのまま。
ていうか、俺。

「なんで獄寺でこんな夢?」

さっきから見ないようにはしてるけど、実は腰がかなり痛い。
つーか股間が熱い。
信じられない。
まさか、男友達でこんな夢を見て勃たせるなんて。

「あーもー、今日ちゃんと顔見れっかなぁ」

俺、ちょっとおかしいのかな。











「んだよ、野球バカ。ジロジロ見んな」

俺がどんな夢を見たところで、別にツナや獄寺の態度が変わるわけはない。
今日もいつもみたいに一緒に学校に行って、一緒に授業を受けた(獄寺は半分くらいいなかったけど)。
獄寺もいつも通りの獄寺で、朝から俺に悪態ついたし、ツナには忠犬みたいにくっ付いてた。
今だって、こうしてみんなで飯食ってるし。
だから、あんな夢のことなんてすぐ忘れちまうだろうって思ってたのに。

「言いたいことあんなら言えよ」
「ま、まぁまぁ獄寺君。山本も今日どうしたの?ずっと獄寺君ばっかり見てるよ?」

本人にはともかく、ツナからも言われちまうくらいに俺は獄寺のことを見てたみたいだ。
悪いとは思ってるんだけど、どうしても。
どうしても夢の中の獄寺の姿が頭から離れない。
そう言えば、俺って獄寺の体って見たことないな。

「あのさ、獄寺」
「ああ?なんだよ」
「ちょっと良い?」

返事を貰うより早く、ツナと獄寺が見守るその前で、俺は獄寺の胸をペタリと触った。
うん、平らだ。
そりゃそうだよな。

「はぁ?てめ、何がしたいんだ」
「え、山本、なにそれ?」

触られた獄寺は、恥ずかしがってるというよりも怒ってる様子で睨みつけてきた。
男なら、やっぱこの程度の反応だよな。
女の子なら、もっと怒る気が、する。
でも俺、本当の女の子の胸を触ったことがないから、どうなるのかなんて分からない。
それに、胸が平らな女の子だっているよな。
こんなこと聞くのはおかしいとは思うんだけど、胸を触ったら無性に知りたくなってきた。
胸と違うし、いきなり触ったら怒るよなぁ?
先に聞いておくべきか?

「あのさ獄寺」
「だからなんだよ、さっきから」
「ちょっと、チンコ見せてくんねぇ?」
「………………」
「………………」

あー、黙っちまった、2人とも。
獄寺の表情固まっちまってるし。
ツナ、すげぇドン引きしてる。

「こ、断るっ!」

振り絞って出したらしい言葉は、少しどもってなんかちょっと可愛いな。

「えー良いじゃん、減るもんじゃねぇし」
「減るんだよ俺のは!」
「減るの!?ますます見てぇ!」
「ふざけんな!」

1度口に出しちまったもんはもう取り返せない。
だったら、もうこれは押し進むしかない。
抱えてた弁当箱を下ろして獄寺との距離を詰めたら、「ひぃ!」って獄寺の喉がなった。
あ、今の声は初めて聞いた。

「よ、寄んなバカ!止めろ!」

食い掛けのパンを投げつけられた。
別に痛くない。

「な、1回見せてくれればそれでいいからさ」
「嫌に決まってんだろ!」

あああ、ツナの後ろに逃げ込まれちまった。
さっきから、獄寺の視線よりもツナの視線の方が痛いのな。
そんな、まるで汚いものを見るかのような目で見ないでくれよ。
さすがにちっと凹んじまうって。

「なぁ、ツナも見てぇよなぁ?」
「いや、俺は別に。それよりも山本、今日ほんとにどうしちゃったの?」
「えー、純粋な好奇心だって」

そうだ、これは好奇心。
俺の夢に出てきた獄寺の股間には、チンコがついてなかった。
結局は俺の夢だし、何よりAVの人の顔が獄寺になっただけってのも分かってるんだけど。
違和感ってのが全然なかったから、本当はどうなってるんだろうって思っただけ。

「10代目!俺、用意思い出しました!今日はこれで失礼します!!」
「あ!獄寺!」
「そ、そうだ山本。俺も職員室に呼び出されてたんだった。先行くね」
「え、ツナも?」

獄寺はすごい勢いで鞄を掴んで走り去って行った。
さらにツナまで、まだ弁当食べかけだってのに、そそくさとどっか出て行った。
ツナの視線は最後の最後まで痛かったけど、俺の言ったことってそんなに変なことだったか?

「うーん…、あの人に相談してみっかなぁ」

なんだか分からないけど、ふとここの保健医のあのオッサンのことが頭に過ぎった。
このまま1人で考えてても答えは出てこなそうだし、行ってみるか。
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