リク

□この夜空の下でワルツを
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満点の星空。
その中にぽっかりと満月が浮かんでいる。





この夜空の下でワルツを





エースが訪れる夜はゾロはいつも自分が見張りに付く事にしている。
だから今日もキッチンから勝手に奪って来た酒を友に狭い見張り台の中に座っていた。


「良い夜だ」


まだ独り。
待ち人は大概真夜中に来るからまだまだ時間がある。


「特に今日は満月だからな」


誰も居ない空間。それにかこつけて独り言を呟く。
見上げる夜空には満点の星。
そしてその中に一際淡い光を放つ物体――満月がゾロを見つめていた。


「綺麗だな」


自然と口から零れ出た。
柄にも無い自分の言葉になんだか気恥ずかしくなってゾロは苦笑する。
珍しく酔ってんのかな、とまた一口酒を煽る。と、ちょうどその時――


「アンタも負けてないぜ?」


朗らかな声が横から聞こえた。
同時にひょっこりと顔を出したのはまだ来るには早い筈の人物だった。


「エース」


よ、と見張り台に入ってくる相手に声をかける。


「お待たせ〜」


ニッコリと人好きのする笑顔。
風に靡く黒い髪が闇に溶けていた。


「待っちゃいねぇよ」


その顔へばっさりと言い捨ててゾロはもう一口酒を飲む。


「またまたぁ♪相変わらずゾロちゃんは素直じゃないんだから」

「ちゃん付けは止めろ馬鹿」


やってくるや否や遠慮無く抱き締めてくるエースの強い腕。
言われた内容に文句を付けるけれどその行為自体にはゾロは抵抗する事なく好きにさせるとまた空を見上げる。キラキラと光る星空にまた意識が吸い込まれた。
口を閉ざして見つめるゾロ。


「……」

「……」


そんな風に夜空を見つめたまま相手をされずに放置されたエースはいつもはなにかと騒がしいけれど、今日はゾロを抱き締めたまま黙っている。
そうして二人を中心に広がる穏やかな沈黙。
いつまでも続くようなそんな空間。
そこに…


「やっぱ今日は良い夜だな」


ポツリと呟かれた言葉。
まだまだ続きそうな予感だった沈黙を破ったのは意外にもゾロの方だった。


「星も月もキラキラ光ってて綺麗だ」


言葉を続けながら片手を月に向けて伸ばすゾロ。


「なんかこうすれば掴めそうな気がする」


言うとその手が月を掴むように空中でキュッと拳を握る。
すると直後隣から小さく笑う気配がした。


「何笑ってんだ」


その気配にゾロがエースの方を見る。


「いや、なんだか今日のゾロは子供みたいだなって思って」


見られたエースは悪戯がバレた時のような表情を浮かべてゾロを真っ直ぐに見つめ返す。


「っ…うるせぇ」


告げられた内容にゾロは嫌そうに眉間に皺を寄せた。
相手のそんな顔にエースはまたクスリと笑う。


「むくれんなよ、褒めてんだから。素直で可愛いってさ」

「そんなもん嬉しくねぇよ」


ニッと笑いつつ頬を突いてくるエースの指を叩くとゾロは仏頂面でそっぽを向く。


「照れてる照れてる。そんなゾロもかっわい〜」

「照れてねぇ!つか、いい加減離れろ!」


その仕草にますます茶化してくるエースを怒鳴り付けると離れようとするゾロ。だけどその前にエースがギュッと更に強くゾロを抱き締めてその身体を離さない。


「確かに今日の夜空は最高だなぁ。ゾロが珍しく饒舌家になるのも分かるぜ」


そしてクシャクシャと乱暴に緑色の髪を掻き交ぜて懲りずに話し掛けてくるエースの口調はとても穏やかで。


「でもそれと同じくらいアンタも最高だよ」

「……」


柔らかく頬に触れてくるエースの指先をゾロは今度は払わなかった。


「今夜のお月様と同じくらい綺麗だぜ」


優しく触れる指先が甘い囁きと共に顎に掛かる。


「なぁ、こっち向いて。キスしよう」


そうして請わる声音は更に甘さを増しながらも拒絶する事を赦さない強いもの。
言葉を向けられたゾロはゆっくりとエースの方を見た。
少しだけ近付く距離。


「キスだけだからな」


それに一応一言釘を刺して。


「えーケチぃ」


口では不満を口にしながらも優しく目元を緩めるエースのその唇を…


「黙れ」


短く切り捨てるとゾロは自らの唇で塞いだ。





満点の星空の下、貴方と――



-END-

エーゾロ…あれ?ゾロエーくさい(笑)
てか中途半端だなー
綺麗、綺麗言ってるゾロってどうなのよ、おい!

如何でしょ?返品可です。
 

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