小説置場
□たまには。
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昼間。暖かな午後の光の中に昼寝マリモが一匹。
たまには。
「何だ?」
「別に。意味は無いわよ」
寝ているゾロの元にやって来た相手に対しての問い掛けへ返って来たのは少し不機嫌そうな声音。
「何と無くよ」
言って側にしゃがみ込むナミ。
「気の迷い」
「何だそりゃ」
少し弱々しく感じる声で続けるナミが俯けたまま顔を上げない事にゾロは呆れた溜め息を吐きながら頭を掻いた。
不確かでは有るがこの行動の意味が分かったような気がしたから。
「だから暫くこのままにしてなさいよ」
「……」
「私が正気に戻るまで。ほんのちょっとぐらい我慢しなさい」
黙ったまま何も言わない自分の服をギュッと掴んで来たナミの細い指。肩に側頭部の辺りを押し付けて来るのにゾロは苦笑が漏れて。
思った通りだと確信する。そしてそれと同時に心の中が何とも言えない擽ったさを訴えた。
こそばゆいようなその感覚は、だけど気分的にはあまり悪くは無く。
むしろ相手に対して滅多に思わない可愛らしさを感じてしまうとそのままの気分で小さく耳打ちする。
「甘え下手」
「五月蝿い」
「素直じゃねぇ奴」
「たまには良いでしょ」
いつもはこっちが我慢してあげてるんだから
すかさず返ってきた反論の後、拗ねた口調で更に小さく呟かれた言葉に無意識にゾロの目が優しく細まる。
「まぁ、たまにはな」
同じように穏やかに緩まる口元を実感しながら肩口で心地良い風に揺れるオレンジ色の髪をポンポンと撫でてやって。
今夜のコックはしつこくなりそうだな、とチラリと一度だけキッチンへ目を遣ってから思ったけれど。
「アンタはもう暫く昼寝でもしてなさい」
今は傍らの人物から勧められた助言に素直に従う事にした。
-END-
ほのぼのめざしましたー
ナミゾロとかロビゾロとか(あとビビゾロも意外と…)、とにかく女性陣と実は仲良しなゾロ話が好きです。