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短編よりも短い文達


シリーズ化しているものもあり


殆ど日雛です
けれどたまに藍雛 ギン雛
吉良雛あり
◆甘くて苦い 



*社会人日雛


友達からじゃだめかな?

クリスマスイブの夜。駅であいつを待ち伏せて二人で歩きながら帰った。聖なる夜を味方につけて少しでも色良い返事を期待したが結果は微妙。ひきつった笑顔で返事をくれた桃に俺は「ああ?」と凄んでしまった。

「や、ほら、あたし達ってずっと家族みたいなもんだったし、その、いきなり付き合うっていうのも、ね、ちょっと気恥ずかしいというか、コントみたいじゃない?だから、」
「全然コントみてぇじゃねぇ。どこにお笑い要素があんだよ?」
「ひぇ……」

にこりともせずに突っ込んだら、俺の顔が余程恐かったのか桃が一歩引いた。
そもそもこの状況で笑えってのが無理がある。俺が女に告白なんてきっと人生でこれきりだぞ?その相手がお前だぞ?お互いを十分知り尽くしているのに「お友達から」はないだろが。頭おかしいのか?

「嫌ならはっきり断ってくれ」
「い、嫌じゃないの!ただ、その、異性として見られないというか、」
「……………」

くっっそ素直な返事をありがとう。
こいつはどこまでも正直なやつだ。お前が俺を男と見てねぇってことくらい遥か昔に理解してんだよ。そこを覆したくて告ったってのに一ミリの希望をも潰してきやがる。異性として見られないって言ってる時点でもうダメじゃねぇか。

「………………………………………」
「ええと……………シロちゃん?」
「はぁぁぁぁぁ」
「ひぇ……」

不満顔で今世紀最大の溜息をついたら桃は面白いくらい縮みあがった。でもそんなことくらいでこの怒りと悲しみが解消されるわけもなく。

「………俺が転んでもただじゃ起き上がらない性格だって知ってるか?」
「え?う、うん?」
「ならしつこい性格だって理解してるよな?」
「うん、それはもう……」

一旦想いを口に出しちまったんだからもう後戻りはできねぇんだ。火のついた導火線を消す気はねぇ。

「しょうがねぇからお前の提案飲んでやる。けど覚えとけ、ただのお友達じゃねぇからな。もう他の男なんか選択肢にねぇってこと覚悟しとけよ」
「はわ、」

親の仇を睨む勢いで凄んでやれば桃は更に更に小動物のように縮んでしまった。
でも事実だから。御愁傷様、憐れな桃。


*1年間ありがとうございました。
皆様よいお歳を。

2020/12/31(Thu) 06:42 

◆甘くて苦い 


*社会人日雛





仕事終わりに美容院を予約しようとしたら21時までいっぱいだった。桃はペケ印が並んだいきつけの美容室の予約欄に溜息をつきスマホを閉じた。

どうしよう……。

これで今夜の誘いを上手く断る理由が消えた。キラキラ光る街はいまだ眠る気配も無し。道行くカップルは皆幸せな恋人に見えてしまう。
彼氏いない歴ン年の桃は今年のクリスマスは家族で過ごそうと思っていた。友達は皆、恋人と一緒だったり遅くまで仕事だったりと予定が合わず仕方なく両親と過ごすことにしたのだ。でもまぁ、たまにはそれも悪くはないと思った矢先、隣の幼馴染みからメールがきたのだ。今夜空いているかと。
仕事があると返事したら終わってからでいいときた。
遅くなるよと返したら遅くなってもかまわないとくる。
今年はうちで両親が待ってるし、と濁したらそれでもいいと返ってきた。両親待っててもいいってどういうこと?

桃は冷たいアスファルトを一歩踏んだ。このまま進めば帰ってしまう。ポケットの中でまたスマホが震え、通知を見るとその幼馴染みからだった。もう終わったか?の言葉にどう返事したもんかと考えてしまう。1週間前に告白されてなければ意気揚々と返信できたのに彼への答えを用意出来てない桃は唸るばかりだ。きっと今夜、冬獅郎は返事がほしいと思っている。

どうしよう……。

いくら考えても出てくる言葉は同じ。クリスマスイブに甘い思い出はほしいけど相手次第で味は変わる。
冬獅郎は嫌いじゃない。でもそういう好きでもない。断る?付き合う?彼に会ったらなんて言おう?
桃は赤い顔でうーんうーんと唸った挙げ句、ぽち、と返信。うん、これでいこう!

『終わったよ。今から帰るね』



先ずは友達からどうでしょう?これに決めた。


*年内最後の休日が終わりました。

2020/12/26(Sat) 00:54 

◆no title 


*芸能人ひつ×義妹ひな


『なに?俺に抱かれたいの?』




白目を剥いてしまいそうな臭い台詞を聞きながらあたしはポテチの袋を開けた。お前ほんとに高校生?
夕方4時からやっている再放送のドラマは少女漫画が原作の学園ラブストーリー。純愛物だというけれど、高校生が抱くとか抱かれるとか言う?不純でしかないじゃない。ああもしかして身体は純潔ではないけれど心は純愛ですとか?悪いけど共感できません。

「さっきから何ぶつぶつ言ってんだよ」
「だってこのドラマ現実離れしすぎてんだもん。原作本なに?脚本家誰よ?」
「知らねぇだろ、そういう設定なんだよ」
「演者が脚本家知らないってどゆこと?」

斜め向かいのテーブルでコーヒーを啜るのはあたしのお兄ちゃん。一昨年俳優デビューして、今年初映画で初主演をした最近人気急上昇中の日番谷冬獅郎様だ。

「シロちゃんさぁ、仕事選べないの?」
「選べるわけねぇだろ。俺だって25で高校生役はキツいと思ってるさ」
「きっとこんなドエロいこと言う高校生、シロちゃんくらいしかできないのかもね」
「おい、お前俺をどんな目で見てんだよ」

綺麗な翠のお目目で睨まれてあたしは「こんな目です」とふざけてやった。

「ったく、久しぶりに帰ってくりゃ妹に仕事批評されて…………たまんねぇな」

TVの中のシロちゃんは相手役の彼女の腰を引き寄せて顎クイ中。すこぶる可愛くない高校生だ。

「もしかしてお前……妬いてる、とか?」

はい?あたしのお兄ちゃんなのに!って?
んなわけあるか。ドラマと同じ、非常識高校生の顔をしてシロちゃんがポテチへと手を伸ばす。それをかわしてあたしは一人でバリバリ食べた。

「サブイボたつこと言わないでよ」
「おい寄越せ」
「やだ」
「可愛くねぇ」

ふんだ。どうせあたしは可愛くない妹ですよ兄貴のエロ顔なんか見たくなかったですよなんでこんなドラマ録画しちゃったんだろう。うん、消去だ消去。
ポテチを食わえたままリモコンボタンをポチっと押して、あたしはやっと人心地ついた。

「なぁ」
「なに?」
「やっぱ妬いてるだろ」

なんで嬉しそうなの?わけ分かんない。
だからあたしは真顔できっぱり。

「妬いてません」


*お互いに義兄妹を意識しまくり

2020/12/22(Tue) 07:45 

◆プロポーズ紛いの 



*現パロ日雛


どこからか学校のチャイムが聞こえる。遠くのビルとビルの間から青く輝く海が見える。ベランダへ出る戸を開ければ気持ちの良い風が入ってきた。

「うわぁ、海が見えるよシロちゃん」

ベランダへ出た桃が振り向いて笑う。今よりも少し広めの部屋へ引っ越したいからと言って物件選びに付き合わせた彼女は俺よりもこの部屋を気に入ったようだ。ベランダの手すりに凭れて風景を眺める桃に続いて外へ出た俺は申し分ない見張らしに、心の中で決定の印を押す。
今の部屋でも別にいいんだ。
俺は元々そんなに物を持たない方だし職場にも近い。彼女も週に何回か通ってくれるし二人でいたって狭さは感じない。けれど唐突に思い浮かべてしまったんだ、ベランダに立つ桃を。
南向きの日当たりのいいベランダで洗濯物を干したり植物を育てたり、出かける俺を見送ったり迎えてくれたり。そんな生活に根差した彼女を外から見つけた時、きっとたまらなく幸福だろうと。


「この辺りは環境もいいし何かと便利だし、ちょっと家賃が上がるけど……大丈夫なの?」
「問題ない。気に入ったか?」
「うん。あ、でもあたしが気に入ったってここに住む人が気に入んなきゃね。どうするの?シロちゃんの会社には今の場所が近いんじゃ……」
「お前がいいんならここにする」
「えー、よく考えなよ」
「いずれお前もここに住むんだからな」
「へ?」


笑顔のまま硬直した桃に俺はくすりと鼻を鳴らした。


そんなに急ぐ未来じゃないけどいつか

2020/12/18(Fri) 14:34 

◆ひつひなふぉーえばー 



*原作大人日雛


面白いことに気がついたんだ。
俺はどうやら雛森の泣き顔が好きらしい。あれほど彼女の幸せを願っていたのに矛盾してる。
雛森には自由に生きてほしいと思っていた。小さくとも強い翼を持ち、高く遠く飛んでいく力を持っているのだから自分の信じた道を進んでいってくれと。俺は地上から彼女が羽ばたく様を見守っていくつもりだった。
それがどうだ、眺めるだけで終わる筈だった鳥が思わぬ弾みで懐へ落ちてきた瞬間、俺は咄嗟に捕まえちまった。悲しい声で囀ずる彼女を籠に入れ、無限に拡がる空の代わりに存分に愛でてやるのだ。





「もう……やめよう日番谷君……こんなのただの傷の舐めあいだよ」

気怠げに俯く雛森はポツリと呟いて肌を隠した。俺は褥に寝そべりながら鼻を鳴らす。
そんなこと言ったってちょいと刺激してやればお前は簡単に落ちるじゃねぇか。口では否定の言葉ばかりだけれど身体は俺を欲するんだ。
俺の下で啼く雛森はいつも駄目だ駄目だと泣きながら悦びに震えている。その涙を舌で掬って口を塞ぎ、しょっぱい気持ちを二分した。彼女が泣いて俺が泣き止ませる。助けを求めてくれば引き寄せて抱き締める。俺達は錠と鍵だ、身体も心もしっくりくる。迸るような快感と満足感で、日々、俺の調子は頗る良かった。
なのに、こんなに気持ちいいのに辞める意味が解らない。傷ってなんだ?俺は何にも痛くない。こと男女の話になると気弱な雛森を俺は知っている。辞めると言ってもどうせ口だけだろと高をくくって夜を終える日々を重ねた。取り合わなかったのだ。解決する気などさらさらない。だってうまくいっているんだから。







けれど、ある日を境に雛森はぷつりと部屋へ来なくなった。







*お久しぶりです。生きてます。こんなのの続きっぽいやつ書いてます

2020/12/16(Wed) 21:12 

◆after 



社会人日雛 先輩×後輩


いつ見ても隙だらけ。きっと今までの人生はいつもこいつの傍に誰かしら用心棒がいたんだろう。そう思わせられるほど自衛がなっちゃいない。


「雛森君、この間言ってたやつの原因が判ったから知らせておくよ」
「わ、態々調べてくださったんですか?ありがとうございます」
「ああ、先ずはこっちを読んでーーー」


課長が雛森さんの隣に陣取るとホチキス留めした資料を手渡し、ぺらりと捲りながら真面目な顔で説明しだした。ネットと過去のデータを引っ張り出せば簡単に作れる資料をさも重大案件のように繰り出す上司は過去1に小者感溢れている。上司の低いトーンにつられてお馬鹿な赤ずきんも真剣な表情でふんふん頷いているのがまた嘆かわしい。俺は二人の会話を背中で聞きながらタブレットを叩いた。
おいお前、じわじわ距離詰められてるぞ、適正な距離を保てよ馬鹿野郎。
けれど温室栽培された雛森さんは中年男の手口に気づくことなく真面目顔をキープ。部下にセクハラ紛いのことをする上司は早目に手を打たなければ厄介だとというのに、っとに御花畑だな。
はぁ、上司はスケベ親父で先輩は世間知らずの御嬢様、この会社の未来に不安を感じるのは俺だけだろうか。

「わかったかい?」
「はい!ありがとうございました」
「ちょっと疲れたね。あっちで少し休憩しない?」
「え?でも私まだ仕事が途中で……」

やんわりと断ろうとする御嬢様にスケベ課長は「いいからいいから」と食い下がる。
っとに、しつけぇ!今は仕事中だろうがよ!おい雛森!てめぇもバシッと断りやがれ!
もう我慢できねぇ!と俺は勢いつけて立ち上がり、窓際に置かれたコーヒーメーカーを手に取った。

「よかったら課長達も飲みませんか?」
「へ?」
「あ、う、うん、ありがとう」
「じゃあ淹れますね。」

有無を言わせぬ眼光を飛ばし、俺は3人分のコーヒーをカップに注ぐ。
休憩ならここでもできんだろ!


*たいして親しくもない日→雛も好きです。

2020/12/07(Mon) 00:59 

◆after 



*社会人パロ


掌でマウスを操作してレイアウトを確認する。フォントの配置はこれでいいか、背景はうるさくないか、色は、大きさは、形は、バランスは。クライアントの要望に最大限応えるために唸っていると右手の上に野太い手が重ねられた。


「ここは強めのオレンジがいいんじゃないか?食欲を刺激させるには寒色より暖色が王道だろ」

げっ!!!
課長の湿った掌があたしの右手ごとマウスを掴む。父親と同い年くらいの中年のおじさんにバックハグもどきをされてときめくはずもなくあたしは全身総毛立った。こういうのはイケ男にされて初めてトゥンクするもんだ。はっきり言ってきしょいです。


「で、でも黒を基調にしてシンプルにしたいという御希望で……」

さりげなくファイルを取り出すふりをして右手をひっこめる。
1ヶ月前に移動してきた新しい上司は人当たりもよくあたしのような新人にも気さくに声をかけてくれる。てか馴れ馴れしい。


「うん、そうなんだけど一応こっちのも仕上げて明日の打ち合わせでサンプルを幾つか提示しよう。今日中にできるよね?」
「き…………!?これ来週まででいいってことでしたよね!?」
「無理かい?」
「あー……もう1日いただければ………。」
「よし、じゃあ僕が手伝うから二人で今日中に仕上げてしまおう。」
「げぇぇぇっ!!!!」
「げ?」

あまりにも強い嫌悪の感情にあたしはヒキガエルの声を出してしまった。それってあなたと二人で残業ってことじゃないですか!セクハラもいい加減にしてよおじさん!向かいのデスクに座る先輩に目で訴えたがタイミング悪く外線電話に立ってしまった。ここは一人で切り抜けねばならぬ難所となり、あたしは瞼を一度閉じ、かっと見開いた。
よし!ここは毅然と断ろう!課長と二人きりになるくらいなら一人で徹夜した方がマシじゃい!

「かちょー!」
「ん?」
「これは私の仕事なので私一人でやり遂げたいであります!」
「でも今日中には無理でしょ」
「大丈夫であります!体力と根性には自信がありますので!」
「いやいや限界ってもんがあるから」
「私の辞書に限界という文字はありませぇんんん!!」
「君そんなキャラだった?」

あんたと二人で残業するくらいなら何重人格にもなってやるわ!
あたしは渋る課長相手に必死で懇願。こんな真剣になったのは高校受験以来だ。
その時、



→追記へ続く

[追記] (2020/12/04(Fri) 00:51)

2020/12/04(Fri) 00:51 

◆放棄 



*原作大人日雛


切欠なんか何でもいい。丸ごと一絡げに成長した俺達は、姉弟の境界も、幼馴染みの節度も男女の分別もすべてにおいて曖昧で、この複雑な感情の正体もよく解らないまま大人になった。

「あっはははははは、やめて、もうだめ、」
「誰が止めるか、散々くすぐってきたのはお前の方だぞ」
「ごめん、ごめんて言ってるのに、あっはははは、もうくすぐらないで、降参だから、」
「俺が降参してもやめなかったから却下だ」
「んぎゃあああ!あははは!」

何が切欠かわからない。たぶん最初は雛森が俺の腹を見て「太ったんじゃない?」と揶揄ったことから始まったと思う。それがいつの間にか擽りあいっこに発展し、今はさっき死ぬほど苦しめられた俺の逆襲のターンだ。姉弟も家族も幼馴染も男女も関係なく、俺と雛森であるだけの独特な関係。夜の密室に2人きりでも大したことは起こらない。
俺はあちこち転がりながら逃げる雛森を捕まえて脇をこちょこちょ。一度スイッチが入った彼女はチョンとつつくだけで笑い袋のように止まらない。

「うー…降参……もう、苦しい、」
「ずるいぞ雛森」
「うわああんん、だってほんとに息できない、」
「知るか、」
「あははは、やだ、あっははは、」

涙目で白旗を上げても追撃の手は緩めない。転がる雛森の細い手首を捕まえて畳に押さえつけ、首筋に息を吹きかける。瞬間「んっ」と擽ったそうに首を竦めて俺を見た。
高揚した顔に困ったような目、弾む息に乱れた胸元。


「………そんな目、どこで覚えてきた?」
「え?んっ、」

切欠なんか何でもいい。境界線もどうでもいい。むくむくと湧き上がった感情の理由を考えるのもまどろっこしい。


こいつが欲しい


その気持ちだけで俺達の形が出来上がる。


*衝動的に一線を超えてほしい

2020/11/16(Mon) 23:08 

◆遠距離おさなな 




*現パロ日雛



学校のこと、バイトのこと、部活や友達の話を取り留めなくつらつらと書かれた長文の最後、ついでのように「髪を切りました」とあった。「またね」も「バイバイ」でもなく、俺にとってはまったく要らない情報で締めくくられた桃からのメールは何だか少し意味深に思えた。



地元の幼馴染みは一個下の高3で、俺と同じ大学に入るべく受験勉強に励んでいる、はずなのだ。幼い頃からちょこちょこと俺の後をついて回り、シロちゃんシロちゃんと慕ってくれる可愛い妹分だから俺も彼女の受験を応援していたけれど今回のメールはなんだか少しニュアンスが違う。俺の気のせいか?いや気のせいじゃない、俺の勘は当たるんだ。
………こいつ、もしかして失恋……した?
いやいやいやいや、桃は俺を好きなんだろうが。だから同じ大学に行きたいってほざいてるんだろうが。なんで失恋なんだよ誰に惚れてたってんだよ俺以上にいい男があいつの周りにいるかっつうのいねぇだろが冗談は性格だけにしろ馬鹿野郎。
ここで俺は深呼吸。落ち着け、落ち着けよ俺。桃はただ髪を切ったという報告をしたにすぎない。実家の禿げた親父も1か月前に同じことを言っていた。何の変哲もない日常だ。
俺の脳裏に数ヶ月前のお団子頭が風船のようにプワプワ浮かぶ。しかし次の瞬間風船は弾けて代わりに現れたのはバリキャリ然としたショートの桃だった。濃い色のルージュをひいて野太い眉毛を整えて別人のようになった桃は俺になんか見向きもしない。「シロちゃんごめんね、あたしもっとお金持ちでカッコいい人がタイプなの」などとほざきやがる!
空想でも許し難いぜ桃!!!


「なんだよ…ほんの数ヶ月会わないだけで浮気かよ(付き合ってない)お前の気持ちはその程度だったのかよ(好きとも言われてない)」

くそお!今一度目を覚まさせてやる!
俺はかつてないほど高速で返信した。



>おい桃!明日の朝一で帰るから首洗って待ってろよ!





*大学の友達との会話でもやたらと「桃が〜」「桃だったら〜」を連発して女友達に引かれるがやさんです

2020/11/15(Sun) 23:45 

◆こんなんをポツポツと 



*原作大人日雛


こんなこと虚しいだけだと雛森は言う。
色んなやつに騙されたり傷つけられたりした俺達はそうするのが当たり前のように肌を重ねるようになった。お互いの身体に残る傷痕の分だけ心も傷ついて、身を寄せ合うことで2人の間に入りこもうとする隙間風を防いできたのだ。それを雛森は虚しいという。とてもやるせ無い表情で。

「こんなこといつか終わりにしないとね」

着物に袖を通して乱れた髪を梳かしつける。あまりにも突然切り出すから俺は彼女が何を言っているのか分からなかった。
雛森を抱いた日はよく眠れる。腕の中の柔らかい生き物が俺に暖を与えてくれるみたいにほかほかと胸の中から温まる。
俺は彼女みたいに虚しいとは思わない。
終わりなんて考えたこともなかった。永遠に続くとさえ思っていた。

「雛、」
「あたし達は傷の舐め合いをしてるだけなんだよ」

だから発展も未来もない、そう言い切って立ち上がる。俺の方を見もせずに背中を向けて。

「おい待てよ雛森」
「次に会う時は昔のあたし達でいよう。こんな……歪むまえの2人に戻って」

冷たく吐いて彼女は背中を向けたまま戸に手を掛けた。一方的な言葉に俺の頭は熱くなる。裸のまま布団を跳ね飛ばし細い影を追いかけた。
なんだそれ、お前はずっと俺達の関係をそう思ってたのか?虚しいってなんだ、歪むってどうなんだ。傷の舐め合いだと?ふざけんな。

「待て雛森!」

いつもいつも碌でも無いもんばっか置いていきやがる。
完全に血が上った頭で俺は馬鹿な女を追いかけた。




*あれ?ひつ裸のまんま?猥褻罪で捕まるねこりゃ。
こんな身体の関係から始まる2人が性癖です。何回でも擦りたいネタ。

2020/11/04(Wed) 00:03 

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