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□過去拍手 ヒツ誕&CDクリスマス
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12月20日


*隊長のおたのしみ









「隊長、お誕生日おめでとうございます。これ、細やかながら私からの誕生日プレゼントでぇっす。」



師走も残り僅かな冬のある朝、さあ今から仕事するかと日番谷が隊首机に座った時だった。

どんっと派手な包装紙に包まれた巨大な箱らしき物体が机の上に。


「松本…、なんだ、これは…。」


視界を遮るほどでっかい箱。


「やっだ、今言ったじゃないですか、あたしから隊長へ愛情籠った誕プレですよ。」


「…………。」





素直に礼が言えないのはなぜだろう。


副官が机の上に置いた時の音から察するに相当重量がある代物とみた。

日番谷はニコニコ笑う乱菊に裏を読み取ろうと瞳をすがめるが、こういうことに関しては日番谷よりも一枚も二枚も敵は上手。



読めねえ……。



確か去年は温泉風呂のタダ券だった。

「雛森を誘ってどうぞ」なんて言葉を鵜呑みにしたのが間違いだったんだ。雛森と二人目的地に着いたはいいが混浴しかなくて、風呂場の入口で怒声をあげたっけ。


「………。」



「ん?隊長、開けないんですかあ?」






まだある……。


一昨年は思い出のアルバムだとか言って分厚い本を渡された。開けてみれば一冊丸々雛森の写真で埋めつくされていて袋とじまでついてる親切さだった。

いや、あれは良かった。

「てめぇ、松本ぉ!」とか表向きは怒ったけれど、あの一冊は今も日番谷の自室、雛森には絶対にバレない所に隠してある。ただ一つ文句を言うなら編集、製作に男が介入したことか。
グッスリ眠る布団の中の雛森や、髪を纏めようとしている項全開の雛森、更に女性死神協会だけで行った海水浴の時の写真。
てっきりワンピースだと思ってたのにビキニだなんて……。あれは反則だろう、いくらフリルで谷間が隠されてても露出度高すぎだ。誰か他の男に見られてねぇだろうな、なんて要らぬ心配事までしちまった。

いやいや、あれは松本にしてはいいプレゼントだった。






「たいちょー、……もしもーし?カムバーック。」



気持ち悪いほどニヤついてるわね。



「ちょっと隊長、しっかりしてください。」


「ん?あ、ああ、なんだ松本、邪魔すんな。」




邪魔……って。妄想の邪魔ですか?



「ほら隊長、早く開けてくださいよ。今年は松本乱菊、(万年片思いの)隊長のために頑張りました!」


大きな胸を更に大きく突き出して、



「……そう言われると益々うさん臭いな。」


「失礼な。ほら、つべこべ言わず男らしくバーンと開けちゃってください。」



「ったく………。」



ほれほれ、と横から副官に急かされゆっくりと箱に手を伸ばす日番谷。


バサバサと包装紙を取り除き、箱を開ければ………。



「こ、これは………!」



「ジャーン!雛森の義骸サンプルでーす!十二番隊に特別に作ってもらいました!なんと着替えつきです!」



「な……、」



箱を開ければ等身大の幼馴染みが目の前に。箱に収めるためか、何故か体育座りで、死覇裝で。



「ほら、これがセーラー服。ナースにミニスカポリ、これはスクール水着ですね。幼稚園の制服なんかもありますよ〜。サンプルに死覇裝を着せたのは、その方が脱がしやすいだろうという配慮からで勤務中プレイを隊長に楽しんでいただくためではありません。」



………セーラー雛森にナース雛森、婦警な雛森にロリロリ雛森……。



「松本………。」




グッジョブ!!



「仕事の邪魔だ。俺の部屋へ運んでおけ。」


お前にしてはいい仕事だ。



「了解しました!」



一を聞けば十を知る優秀な副官は、すちゃ、と素早く敬礼をして、執務室の戸を開ける。

これで当分の間は我が身の安泰と十番隊の平穏は保障された。
そう思えば気分も軽い。
少年隊長も眉間の皺の間に浮かれ気分を隠しているし。


「ちょっと誰か来てー。」




乱菊は近くにいる隊員を呼びよせて、日番谷の自室にそれを丁重に運ぶよう命じた。



12月20日、午後からは雪が降るとかいってたけれど、十番隊はなぜだか小春日和です。




 
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