ss
□3
2ページ/52ページ
育ての親でもある
*原作十番隊
「隊長って筆の持ち方おかしいですよね」
午前中のうちに雑務を終えるべく二人で書類と格闘していた時だった。徐に松本が副官席から言った言葉に俺は顔を上げた。副官の目が俺の手元を指している。言われてチラリチラリ、俺と松本の手つきを見比べる。今まで大して気にしなかったが確かに松本の持ち方と俺とじゃちょっと違う。
「…何もおかしかねぇ、筆の持ち方はこうだろが。」
「いいえ、こうです。そんな持ち方でよく字がかけますね。」
そう言って松本は俺に見えるよう手元を向けた。まるでこれが手本だと言わんばかりに。若干非難めいたその言い方にカチンときた。
筆の持ち方は小さい頃に雛森と婆ちゃんから教わったんだ。正しい持ち方はこうだと雛森が姉貴ぶって俺に示し婆ちゃんも横で頷いてたから間違ってる筈がねえ。
「こうだろ。お前の持ち方こそなんだそれは、ガキかよ。」
「なっ、あたしはちゃんとギンから厳しく教えられたんですよ!間違ってるわけないじゃないですか!」
「あいつにかよ。じゃああてにならねぇな。」
へっと一笑してやると松本は眉間に皺を寄せて厳しい顔をした。因みに松本が眉間に皺を寄せたら俺の比じゃないくらい怖くなるからな。
「聞き捨てならないですね。あんなろくでなしですがギンはそこんところきっちりしてましたよ。隊長の方こそ流魂街の閉鎖された集落で間違った文化が横行してたんじゃないですか?」
「はああ!?その台詞そっくりそのままお前に返すぜ!ゴミみたいな箸の持ち方するくせに!」
「は!?隊長の箸の持ち方だってチンパンジー並みでしょうが!」
「だれがチンパンだ!このゴリラが!」
「なんですってぇ!」
「まぁ…お互いの主張ってあるわな…」
「シロちゃん…乱菊さん…。」
*五番隊来訪