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□七周年記念話「目撃情報」
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@阿散井









ほんとにあの二人は仲がいいな。
小さい二人だからこそ姉弟の微笑ましい姿に見えるけど、もしあいつらが大人サイズなら恋人同士にしか見えねー構図だ。














ルキアのいる十三番隊からの帰り道、隊舎裏の木陰で休む雛森と日番谷隊長を見た。

夏が過ぎ、気持ちの良い秋風が走っていく昼下がり。
そうだな、こんな日は昼寝には絶好の日だ。
雛森の膝枕で眠っている日番谷隊長の気持ちがよく解る。心地よい風。誘われるままに睡魔に落ちる。惚れた女の優しい手は独り占め。最高じゃねぇか。


今日は珍しく二人共、仕事に追われていないのか、雛森がゆっくりと幼なじみの髪を梳いている。まるで子守歌を奏でる奏者のようにゆったりとした穏やかな空気を纏って。見ているこっちまで睡魔にやられそうだ。それくらい雛森の指がゆっくりゆっくり銀の髪を滑っていく。


可愛い弟が安心しきって身を委ねてくれるのが嬉しいのだろう雛森は、慈愛の眼差しを膝の上に落としている。かたや惚れた女からちょっとズレた慈しみを受ける日番谷隊長の心境はいかがだろう?

遠目からはいつもの眉間の皺は見えない。


「ま、嫌な気はしねぇよな。」


多少のもどかしさはあるだろうが至福の時に違いない。
俺だってルキアに膝枕されてぇもんな。




これ以上見るのは野暮ってもんだ。
憩いのひと時を楽しむ二人の邪魔をしないよう、俺はそっと立ち去った。




 
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