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□ああ素晴らしきかな
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そうなのだ。
十番隊副隊長である松本は只今妊娠2ヶ月の妊婦。市丸が戻ってきたと知らされてから間もなくの爆弾発言に俺は始め理解できなかった。


なんで市丸が復帰して直ぐ孕むんだ?
計画的なのか?
それとも欲望任せの無計画なのか?
そりゃあ二人がデキていたのは知ってたさ。市丸が無事だと判った時の松本は嬉しさの余り泣き出したくらいだ。市丸個人は好きになれないが想いあう恋人が寄り添う様には胸を熱くさせられた。


けど、復帰して3ヶ月も経たないのに女を孕ますってどうよ?スケベ野郎としか思えねぇんだけど。



「安心してください市丸隊長。乱菊さんなら身体が鈍るからと仰られてたんで、ついでに散歩でもされているんだと思います。」


にっこり雛森が言えば市丸は急に不思議そうな顔をした。


「そういうたら…なんで雛森ちゃんは乱菊の席に座っとんの?」


「あ…私今日は非番で…。十番隊に遊びに来てたんですけど乱菊さんがいなくなっちゃったから代わりにお仕事を…。」



そう、そうなのだ。雛森は俺に会いたくて非番にも関わらずわざわざ来てくれたのだ。可愛いやつめ。
すっと頬を染めた雛森がチラリと上目でこちらを見る。少しでもいっしょにいたいのは俺も同じ。もじもじと桃色の視線を送られて俺も顔が熱くなった。


「そうか…わかったで…二人きりになりとうてお邪魔虫な乱菊を追い出したんやろ!」


「はああ!?そんなことしませんよあたし達!」


どこまでひねくれているんだ、こいつは。
市丸が俺達に在らぬ疑いをかけ始めた。理不尽な言葉に雛森が猛然と抗議する影で、俺は今頃松本の気遣いを知った。


なるほど、松本は気を利かせてくれたのか。
やっぱりいいやつだな、あいつ。この空気読めない狐と違って。


上司思いの副官に目頭が熱くなるけど今は戻ってきてほしい。たぶん市丸は妻が帰って来るまで居座るつもりだ。俺達のラブタイムはこいつがいる限り永遠に訪れない。
それこそお邪魔虫というものだろう。


俺達をまるで仇を見るような目で見る市丸は肩を怒らせ文句を垂れる。松本がいない八つ当たりにしか思えなくて雛森もだんだんムキになってきているようだ。二人の口論がエスカレートしつつある。
松本はなぜこんな面倒なやつを好きなんだ。嫉妬深い自己中のオッサンじゃないか。



「それよりもこんな所で油を売ってないで早く三番隊に戻られたらどうですか?吉良君が可哀想じゃないですか!」


「君…この僕に意見する気か?」


「あっ、このやろ…!」


言いがかりをつけた市丸に雛森が言い返す。それがたいそう気に入らなかったのか市丸が雛森に照準を当て、彼女の顎に指をかけた。見かけによらず気が強い雛森はくぃ、と上を向かせられても三番隊長を睨んでいる。シニカルな笑みで小娘を見下ろす市丸も目が笑ってない。顔を寄せ睨み合う双方。



お前ら近っ!


当然のことながら雛森に触れていいのは俺だけだ。


「てめぇ!人の女に触ってんじゃねぇ!」


「なんやガキンチョがえらそうに!」


「日番谷君はガキじゃないもん!」


「貧乳は黙っとき!」


「きゃあああ!エッチ!」


市丸が雛森の控えめな胸を指で弾いた。


俺でさえまだ触ったことないってぇのに…!この破廉恥狐め!
やっぱり許せねえ!
なんでこいつを助けた十二番隊ぃ!


「市丸覚悟しろぉ!」


「あたしに触っていいのは日番谷君だけなんだからぁ!」


「あいたぁ!この子噛みついたぁ!」


「スケベ!痴漢!変態!エロ親父!」


「痛いって!離しぃ!」


「よせ雛森!」


「ただいまぁ〜京楽隊長に捕まっちゃってぇ〜テヘペロ…………………………………………なにこの騒ぎ………?」


「あ!乱菊助けてえ!この子ら凶暴やねん!」


「この女の敵ぃ!」


「市丸!どこ触ってやがる!雛森から離れろ!」


「いたぁ!なにするんや!」


「…………えーっと………?」


























松本が速やかに吉良を呼びに行ったのは言うまでもない。
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