ss
□スクープ
1ページ/11ページ
@
*学パロ日雛(乱菊語り)
我が校の生徒会長は二年生。三年生を差し置いてダントツ当選した彼は文武両道、顔も度胸も申し分ない。多少くそ生意気なチビだけど、あたし達三年生が彼の補佐に回るのに文句など無い。それくらい有能な生徒会長なのだ、日番谷冬獅郎という男は。この男にはおよそ弱点など無いに違いない。あたしも含め、皆がそう思っていた。
「ここにあるといいんだけど…。」
生徒会の仕事を終えて学校を出たあたしは駅の改札で定期を無くしたことに気がついた。落とすとするなら生徒会室か教室で、先ずは生徒会室に来たのだけれど部屋の戸を引く直前、中から人の声がした。
『雛森、そっちはもう終わりそうか?』
『はい、あとこれを閉じるだけです。』
チビ会長と…一年の桃?まだ残ってたんだ。
あたしは聞くとはなしに声をつめて耳を澄ました。
『手伝おうか?』
『ううん、もう少ないから大丈夫だよシロちゃ…っと日番谷会長。』
『誰もいないんだから無理して会長呼びしなくていいぜ。』
『そぉ?』
えっ、あの二人ってあの二人って、ただの先輩後輩じゃなかったの!?
二人の予想外の関係を知り、あたしは戸の前で口を押さえる。
あの超人気者のくせして女には見向きもしない冬獅郎と、おとなしいけれど男子の間では密かに人気上昇中の桃がこんなにも親密な間柄だったなんて!なによなによ二人してこそこそと。やっぱり付き合ったりしちゃってんの!?
あたしは更に更に聞き耳をたてた。こんな状況に遭遇したら誰だってこうしちゃうでしょ。
『いつも手伝わせて悪いな。』
『いいってこれくらい。』
桃がファイルを片づけている音がする。穏やかな彼女の性格にあの憎たらしい会長の心も解れるのだろうか、いつもより数倍優しい声音が気持ち悪い。
しばらく沈黙が続いたと思ったら、カタン、と乾いた椅子の音がした。これは会長の椅子の音?急に沈まり返った室内にあたしは更に更に更に息をひそめた。