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実は溜まっていました
*原作日+平
あそこにいるのは平子か?
俺の行く前方に親指大に小さく平子が見えた。あの金髪おかっぱに白い羽織はやつしかいない。
こんな中途半端な時間にあのゆっくりとした歩調、サボりだな。
簡単に行き着いた結論に俺の機嫌はたちどころに悪くなった。
トップに立つ上司が仕事もせずにぶらぶらしているということは、その部下が煽りをくっているということだ。そのいい例が三番隊。俺ん所は例外だがな。
のらりくらりと歩く平子はどこへ行くつもりなんだろう。方向からいって五番隊ではないことだけは確かだ。
後ろに手を組んで周りの景色を見ながら歩く平子はどっかの隠居した爺さんの散歩みたいだ。早く戻ってやれよと俺は後ろから念を飛ばす。少しでも早く帰って雛森を手伝ってやるとかできねぇのかあいつは。
ムカムカする。
今頃雛森は執務室で一人、必死に働いているんだろう。平子はいつ戻ってくるんだろうかと案じながらやつの帰りを待っているに違いない。
おい、平子、女に声をかけてる場合じゃねぇぞ。京楽並みのたらしかお前は。サッサと戻れ。そして雛森に楽させろ。
「俺に何か用か?」
「え?あ?……あ。」
あまりの腹立たしさに気がつかなかったが、いつの間にか平子に追いついていたらしい。やつは剥き出しの歯をみせて俺を上から見下ろした。少し上がり気味の顎や見下ろす目つきがいかにも大きい者が小さい者を見下ろす体でなんかムカつく。
少しだけ小さいからって馬鹿にすんな。俺も負けじと下から平子を睨みつけた。
「こんな所をうろついている暇はねぇんじゃねぇか?」
「ちょうど今から戻るとこや。桃に何か伝言があるんやったら伝えるで。」
「伝言?そうだな……………………………ちゃんと飯は三食食ってるか睡眠時間は十時間は確保しているか。平子の分の仕事は残しきっちり定時には退出すること、なるべく残業は部下にやらせて暫くは現世任務は断ること、卯の花の所へか定期的に検診に行っているのか。平子がセクハラ発言をしたら直ぐに俺に知らせるか総隊長のもとへ駆け込むこと。平子の痛いお笑いには無理に笑わなくていいこと。えーと、あとは1日一回は十番隊に顔を出すこと、だ。」
「…………。」
とりあえず平子は謝っておいた。